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国と地方の協議の場(平成24年度第3回)に橋会長が出席

国と地方の協議の場に臨む地方6団体会長

 平成25年1月15日、総理大臣官邸において、安倍政権発足後初となる「国と地方の協議の場(平成24年度第3回会合)」が、「経済対策」、「平成25年度予算編成及び地方財政対策」を協議事項として開催され、全国町村議会議長会の橋 正会長(群馬県榛東村議会議長)をはじめ地方6団体の代表が出席しました。
 会議の冒頭、安倍晋三内閣総理大臣から「今回は、安倍内閣として、第1回目の「国と地方の協議の場」である。安倍内閣においては、地方に関わる重要政策課題について、地方と連携して政策を進めていくため、この「国と地方の協議の場」を活用していきたいと考えている。日本にとって、喫緊の課題は、経済の再生である。強い経済を取り戻していかなければならない。地方が、活力を取り戻し、成長していくために投資をしてまいりたい。そのことによって、日本全体が成長をしていくと確信をしている。私は、経済再生に向けてロケットスタートを切るという決意のもと、「日本経済再生本部」を立ち上げ、「経済財政諮問会議」も再起動させた。そして先般、「緊急経済対策」を決定し、補正予算の編成作業も大詰めを迎え、さらに来年度予算編成や税制改正作業も早急に進めているところであるので、皆さまにもご協力をいただき、スピード感を持って経済を再生していきたいと考えている。地方の立場から、忌憚のないご意見をいただき、実りある協議の場にしたいと思う。」との発言がありました。
 これに対し、地方6団体を代表して、全国知事会山田啓二会長(京都府知事)より挨拶が行われ、その後、それぞれの協議事項について意見交換に入りました。
 まず、「経済対策」については、甘利明経済財政担当大臣の概要説明とともに、地方側から次のような趣旨の意見がありました。
○元気臨時交付金の創設などの対策を迅速に決定していただき感謝している。この対策の効果を出すためには、できるだけ早く地域の実情にあった形で地域に下ろしていただき、地域の裁量にできるだけ任せるようにしてほしい。
○元気交付金については、財政力の弱い団体に特に配慮をお願いしたい。

 次に、「平成25年度予算編成及び地方財政対策について」は、まず、麻生太郎副総理兼財務大臣から、「平成25年度予算編成において、中期的に財政健全化を進めるため、中身を重点化し、メリハリのついた予算を編成することになる。このため、それぞれの歳出分野の課題に各省ごと取組んでくれと伝えた。特に、総務省に対しては、地方財政の課題は給与の削減であり、国家公務員は今年度より7.8%の給与削減を実施しているので、国家公務員と地方公務員の給与水準がラスパイレス指数で106%ぐらいになっている。地方交付税が国民の税金で保障されるという立場に立つと、地方公務員だけ何故となり、なかなか理解が得られるところではないので、平成25年度の予算からこれを反映していかなければならないと思うので是非お願いしたい。今回の補正予算で、1.4兆円の元気臨時交付金を計上するなど、地方に最大限の配慮をしているので、給与減額分の6,000億円くらいの(交付税の)削減を頭に入れていただきたい。先の選挙で自由民主党としては公務員の人件費削減を公約に掲げているので、組合との交渉等色々あると思うが、協力をお願いしたい。」旨の発言がありました。

 これに対して、地方側からは資料3を提出し、次のような趣旨の発言を行いました。
○地方もきちんとした形で財政健全化には協力していかなければならないと考えており、地方公務員の給与についても適正化を図っていかなければならないと考えている。ただし、これまで地方は10年間で見ても約2兆円近い給与削減をすでに行い、職員定数も国の6倍ぐらいの定数削減を行ってきており、大変な努力をしてきた。このことにまずは評価をしていただいた上でお話をしたい。国家公務員給与の7.8%の削減は、2年間の時限であり、これにより地方公務員の給与が高いと言われるのは、我々としては納得できない。
○国家公務員給与の7.8%は、東日本大震災を受けて、その復興費用のために特別に削減したが、今度、地方が削減する時はどういう名目で行うことになるのか。
○我々は労使交渉をやっていかなければならない身であるので、単に国の方の財政が苦しいから地方から出せと言うことであれば、とても交渉できるものではない。国家公務員と差がつくという話があったが、実はまだラスパイレス指数の正式な数値は出ていない。平成24年、25年で差がつくのは確かに事実だと思うが、国は2年の措置でやっているから、26年には差はなくなるどころか、地方の方が低くなることが推測される。差がつくと、1年間とにかく下げろということなのか。
○地方は今、景気対策も含めて平成25年の予算編成に取りかかり、既にほとんどの自治体が予算編成の半ばを終えているところである。国も国家公務員の給与削減においては、労使交渉を重ねてこられて、いろいろな状況の中で、決着されたという経緯がある。我々もこれからの事態を受けて最終的に協議しながらやっていくにしても、当初からというのはとても乱暴な話でできるものではない。
○町村職員の給与は長期にわたり、国を大きく下回っており、給与の独自カットや定数削減など大変厳しい行政改革を行ってきた。そういう町村を含めて、地方交付税とリンクして一律に削減するということは納得がいかない、もう少し上手い知恵がないか、考えていただきたい。
○政策的な理由で削るとなると、その理由や期限を明らかにし、その中で国・地方を通じて必要な給与のあり方を決めていくのが筋であり、それが十分に議論しないまま交付税の削減となると、交付税が政策的に使われてしまう。国・地方を通じて何が給与の適正水準なのか、その中でどうやって国と地方が経済再生のために歩みを揃えていくのかという点をしっかりと協議の場を通じて議論をして埋めていくのが本質ではないか。

 新藤義孝総務大臣からは、「地方の行革の努力、独自の定員削減等については、承知をしているし、評価をしっかりとしたい。しかし、政権与党も人件費を削減するとの公約・政権の方針もあるので、総務省も地方の皆さんと話をしながら、取り組んでいきたい。そのうえで、単にこれが地方の一般財源を削減するのみで終わるということがあってはならず、色々な工夫をしなければいけない。国家公務員の場合は、ご指摘のように復興財源に充てる目的であったので、地方にお願いする際はどういう意義を作っていくのかは非常に重要であると思うし、国民の理解を得るための努力をやらないといけない。また、平成26年度以降についてはまた国の方でも新たな措置を考えるが、まず新年度についてはぜひ国と足並みをそろえていただきたい。それが政権としてのお願いなので、皆様としっかり話し合いをしていきたい。」旨の発言がありました。  
 最後に、菅義偉官房長官から「地方の皆さんの思いは私どもも理解している。ただ、この厳しい状況の中で、強い経済を目指すという予算の重点化を行ってきたので、皆さんには公務員の給与削減についてぜひご協力をお願いしたい。今後は、総務大臣において地方側との調整をお願いしたい。」旨の発言がありました。

(政府出席者)
安倍 晋三 内閣総理大臣
麻生 太郎 副総理・財務大臣
菅  義偉 内閣官房長官
新藤 義孝 総務大臣・内閣府特命担当大臣(地方分権改革)
甘利  明 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

(地方六団体出席者)
山田 啓二 全国知事会会長       (京都府知事)
林  正夫 全国都道府県議会議長会副会長(広島県議会議長)
森  民夫 全国市長会会長       (新潟県長岡市長)
関谷  博 全国市議会議長会会長    (山口県下関市議会議長)
藤原 忠彦 全国町村会会長       (長野県川上村長)
橋  正 全国町村議会議長会会長   (群馬県榛東村議会議長)


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資料1 内閣府提出資料(1)
資料2 内閣府提出資料(2)
資料3 地方6団体提出資料


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