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自由民主党道州制推進本部役員との意見交換に出席

道州制に関し発言を行う橋会長

 平成25年5月15日、自由民主党本部において、道州制推進本部役員と「全国町村会・全国町村議会議長会」との意見交換が行われ、まず、全国町村会の藤原 忠彦 会長(長野県川上村村長)が発言を行い、続いて、本会の橋 正 会長(群馬県榛東村議会議長)が発言を行いました。
 その後、両団体の出席者がそれぞれ意見を述べ、本会からは、杉浦 和人 副会長(滋賀県日野町議会議長)、萬  和男 理事(北海道中標津町議会議長)、児玉 信長 理事(秋田県三種町議会議長)が発言を行いました。
 主な発言要旨は次のとおりです。

【橋会長】
○我々町村議会は、これまで、「住民自治の推進に逆行する道州制は行わないこと。」と政府・与党に対し、強力に申し入れてきたところであり、今回の自由民主党が中心に取りまとめられた「道州制推進基本法案」が今国会に提出されようとしていることは、誠に遺憾。
○これまでの議論は、政府・与党や財界主導、大都市中心により進められてきたものであり、直接の当事者である町村の意見と真剣に向き合っておらず、なぜ今、道州制を導入しなければいけないのか、国民が要求しているものとも思えない。
○今回の法案では、基礎自治体は市町村の区域を基礎として編成するとしており、一見、強制合併がないようにみえるが、従来の市町村の事務に加え、住民に身近な事務は都道府県から基礎自治体へ大幅に承継させることとされている。こうしたことから、事務権限の受け皿という名目のもと、事実上の強制合併を余儀なくされることを危惧するし、行政と住民の距離をさらに遠くさせ、住民自治が衰退してしまうことは明らかであり、今回のように一方的に中央から押し付けるような道州制は、地方自治の精神にも反するものであり、地方分権改革の名を借りた新たな集権体制を生み出すものである。
○道州間の競争では、税源豊かな東京や既にインフラが整っている地域が明らかに有利であり、一極集中が是正されるどころか、ますます加速し、地域間格差は拡大する恐れがある。また、道州内においても、権限・ひと・仕事・情報・カネなどが集中する大都市が有利であり、大都市から遠く離れ、農山漁村を多く抱える町村は衰退を余儀なくされ、大都市と町村の道州内格差が拡大することは必然。
○これまで我々町村は、国民の生活を支えるため、食料供給、水源涵養、国土保全に努め、伝統・文化を守り、自然を活かした地場産業を創出するとともに、個性あるまちづくりを推進してきた。単なる数合わせ、住民自治のない、単なる寄せ集めでは地方自治は衰退し、国土は荒廃してしまう。国土を守っている我々町村は、最後の砦である。現に存在する地方自治体の体力を強化し、多様な地方自治体の存在を認め、それぞれの地域の活力を増大させることこそが、国力をアップさせる近道であり、今、やるべきことである。
○道州制のもとでは、これまで地域の声を吸い上げてきた議会も住民から遠くなり、多種多様の住民ニーズに対する適宜・適切な判断と迅速な対応への展開が困難。
○これらのことから、住民自治の推進に逆行し、町村の存在を否定する道州制の導入には反対である。
 
【杉浦副会長】
○先生方の地元選挙区で果たして道州制が議論になっているのか。1,171万人の人口を抱える我々町村では、このような話は一切聞こえてこない。町村議会議員は末端にいるとよく言われるが、私たちは末端ではなく、住民に最も近い先端におり、住民の声に真剣に耳を傾け、それを都道府県議会議員や国会議員に上げていることをまず認識していただきたい。
○国土の約4割を占めている町村は、国土の保全・食料供給・水源涵養など重要な貢献をしており、今、その町村をこの道州制により、切り捨てることがあれば町村住民は怒りをあらわにすることになる。この会議も単なるガス抜きをするような会議にしないでいただきたい。

【萬理事】
○基礎自治体を20万や30万人とするならば、北海道の道東地域をこれで括ると、端から端まで230キロに及ぶ1つの自治体が出来上がることになるが、本当に隅々まで目が行き届くことができるのか。効率の良い自治運営をするためだけにそのような括りをしていいのか非常に疑問。
○町村は、国土面積の約40%、全人口の9.2%を占めるが、人口だけで区割をしてこの現実をどう解消していくのか。地域間格差の是正や国会議員をどの程度の人数にするのかなど色々なことをトータルで国民が納得できる形にしていただきたい。また、それぞれの地域が持っている伝統や文化も大事にしていただきたい。

【児玉理事】
○この法案に関し、自由民主党の先生方に聞くと、「合併を強制するものではない」と言う。確かに本法案には明確に合併という文言は見当たらないが、「前文」には、「基礎自治体を、地方自治の主体として、住民に身近なことは全て自ら決定できる自己完結型の地方公共団体としていく必要がある」とか、3の「基本理念」においても、「基礎自治体は、住民に身近な地方公共団体として、従来の都道府県及び市町村の権限をおおむね併せ持ち、住民に直接関わる事務について自ら考え、自ら実践できる地域完結性を有する主体として構築すること」とあるように、これらの対応が不可能な町村は、結果として合併し、対応できるだけの体制整備を図らなければならなくなるのではないか。
○平成の大合併を終えて間もない今、また、十分な評価や検証もなされていない今、事務権限の受け皿という名目のもと、再び事実上の強制合併が行われることになることも考えられる本法案の提出には断固として反対。

出席者
【全国町村議会議長会】
橋  正 全国町村議会議長会長(群馬県榛東村議会議長)
杉浦 和人 全国町村議会議長会副会長(滋賀県日野町議会議長)
萬  和男 全国町村議会議長会理事(北海道中標津町議会議長)
児玉 信長 全国町村議会議長会理事(秋田県三種町議会議長)
【全国町村会】 
藤原 忠彦 全国町村会長(長野県川上村長)
遠藤 直幸 行政委員会委員長(山形県山辺町長)
汐見 明男 財政委員会委員長(京都府井手町長)
田中 源一 財政委員会副委員長(佐賀県江北町長)
【自由民主党】
今村 雅弘 道州制推進本部本部長
久世 公堯 道州制推進本部参与
石田 真敏 道州制推進本部幹事長
磯崎 陽輔 道州制推進本部事務局長代理
上野賢一郎 道州制推進本部事務局長代理
橋本  岳 道州制推進本部事務局次長
西村 明宏 道州制推進本部事務局長(司会)


意見交換次第
道州制基本法案(骨子案)
道州制のイメージ
本会提出資料「道州制導入に関する緊急声明」


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