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地方分権改革の取組、骨太の方針の策定等を議題に開催された「国と地方の協議の場(平成25年度第1回)」に橋会長が出席

国と地方の協議の場(平成25年度第1回・6月5日)

 平成25年6月5日、総理大臣官邸において、「地方分権改革の取組」と「骨太の方針の策定等」を協議事項として「国と地方の協議の場(平成25年度第1回会合)」が開催され、全国町村議会議長会の橋 正会長(群馬県榛東村議会議長)をはじめ地方6団体の代表が出席しました。
 会議の冒頭、安倍晋三内閣総理大臣から「今回は、平成25年度第1回目の「国と地方の協議の場」である。今年度も、地方に関わる重要政策課題について、地方と連携して施策を進めていくため、この「国と地方の協議の場」を活用していきたいと思う。常々私が申し上げているとおり、地方の元気なくして、国の元気はない。国と地方の役割分担を見直し、それを国全体の再生につなげていくことが重要である。これまでの経緯や地方の声なども十分に踏まえ、地方に対する規制緩和や権限移譲など、地方分権改革を着実にこれからも進めていきたい。安倍内閣の現下の最優先課題は、経済の再生であり、併せて、財政の健全化を実現しなければならない。経済の再生と国・地方を通じた財政健全化が、お互いの進展に寄与し合うような好循環が生まれるよう取り組んでいかなければならない。地方の立場から忌憚のないご意見をいただき、実りある協議の場としたいと思う。」との発言がありました。
 これに対し、地方6団体を代表して、全国知事会山田啓二会長(京都府知事)より挨拶が行われ、その後、それぞれの協議事項について意見交換を行いました。
 まず、「地方分権改革の取組」については、新藤総務大臣兼内閣府特命担当大臣(地方分権改革)から資料1・2・3に沿って、概要説明があり、これに対し、地方側から次のような趣旨の発言がありました。
○地方も自己努力をしていかなければならないが、そのためには地方に早く権限を与えてもらいたい。例えば、農地転用でも、成長戦略により企業立地を進める際、長い間農林水産省と協議しているうちに企業は逃げ、無料職業紹介もハローワークを通しているうちに若者は逃げ、過疎地における福祉タクシーも運輸局と協議しているうちに過疎化は進んでしまう。地方が自立するためには地域に条例で任せて、できるだけ裁量の余地を作って欲しいし、地方分権をできる限り早く進めてもらいたい。
○東日本大震災の被災地へ職員を派遣しているが、現地の実情をみると、いろいろな手続が煩雑であったり、自分で決めることができない。もう少し市町村に権限を与えて職員が少なくて済むようにするのが本来ではないか。
○地域の意見や実情をしっかり把握していただくことと、スピード感のある移管をしてもらいたい。

 次に、「骨太の方針の策定等について」に移り、甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策)兼社会保障・税一体改革担当大臣から、資料5・6・参考資料に沿って、概要説明がありました。
 これに対して、地方側からは資料4を提出し、山田啓二全国知事会長から説明を行いました。
 続いて、地方側からの意見に移り、本会の高橋会長からは次のような発言を行いました。
○私ども議会と執行部が、地域住民の声に耳を傾け、応えていくためには、とにかく一般財源総額を確保することにつきる。町村は自主財源が非常に乏しく、財政基盤が脆弱である。一部ではアベノミクスの効果が言われているが、我々のところでは依然として厳しい経済・財政状況が続いている。従って、引き続き、自主的・主体的な地域づくりを進めていくためには、一般財源総額の確保は不可欠であり、その中心となる地方交付税総額をしっかり確保するようお願いしたい。また、自動車関係諸税は、町村にとって極めて重要な財源なので、その見直しにあたっては、税制上、現行総額の確保を前提とした対応をお願いしたい。

 そのほか、他の団体からは次のような趣旨の発言がありました。
○格差がそのままで、各812の市区が競争しても勝負にならないところがあるので、頑張る地方の応援の中でも、基礎的な部分はしっかりと支えていただいた上で、プラスアルファの部分を考える等、格差の拡大につながらないような制度設計が必要である。
○もともと産業基盤の脆弱な町村部では、地域資源を活用した事業が軌道に乗るまでに非常に時間がかかる。このためには財政的な裏付けがどうしても必要となり、その主たるものが地方交付税である。地域経済を下支えしている地方交付税の特別枠を当面維持していただかないと、必要な総額が確保できない状況なので、ぜひ配慮いただきたい。また、国民健康保険については、国民会議で都道府県が今後運営するという議論があるが、この全面総報酬割について、浮いた財源は国保に投入し、構造的な問題を抜本的に解決していただきたいし、骨太の方針の中でこの点をしっかり書いてもらいたい。
○償却資産に係る固定資産税も大きな税源なので、配慮願いたい。

 新藤総務大臣兼内閣府特命担当大臣(地方分権改革)からは、「総務省としてはいただいた意見をしっかりと受け止め、それを制度に反映できるようにするとともに、今後策定する骨太の方針にできるだけ反映されるよう努力したい。現下の最大の試練は、日本を再生することである。国と地方を対立概念としてとらえるのではなく、互いの立場を尊重し、共に一致団結してこの問題の解決に向かっていくという姿勢をぜひとってもらいたい。また、このような姿勢がとれるような形での取り組みを考えていきたい。」旨の発言がありました。
 最後に、菅義偉官房長官から「政府側としては、総務大臣の今の意見に尽きる。皆さんと連携をとりながら骨太方針、地方分権改革を進めていきたい。」旨の発言がありました。

[政府出席者]
 安倍 晋三 内閣総理大臣
 麻生 太郎 副総理・財務大臣
 菅  義偉 内閣官房長官
 新藤 義孝 総務大臣・内閣府特命担当大臣(地方分権改革)
 甘利  明 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・社会保障・税一体改革担当大臣

[地方六団体出席者]
 山田 啓二 全国知事会会長       (京都府知事)
 林  正夫 全国都道府県議会議長会会長職務代理者(広島県議会議長)
 森  民夫 全国市長会会長       (新潟県長岡市長)
 佐藤 祐文 全国市議会議長会会長    (神奈川県横浜市議会議長)
 藤原 忠彦 全国町村会会長       (長野県川上村長)
 橋  正 全国町村議会議長会会長   (群馬県榛東村議会議長)


次第
資料1 個性を活かし自立した地方をつくるために(内閣府提出資料)
資料2 国から地方への事務・権限の移譲等に関する各府省の回答の概要等(内閣府提出資料)
資料3 地方分権改革有識者会議専門部会について(内閣府提出資料)
資料4 これからの国・地方を通じての課題について(地方六団体提出資料)
資料5 骨太方針の策定等について(内閣府提出資料)
資料6 社会保障制度改革国民会議における検討状況について(内閣官房提出資料)
参考資料 社会保障制度改革国民会議における検討状況について(参考資料)(内閣官房提出資料)


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