政府は、平成19年3月20日、今後10年程度の水産業の展望と水産に関する施策を示す新たな「水産基本計画」を閣議決定しました。 「水産基本計画」は、水産物の安定供給の確保及び水産業の健全な発展という水産基本法の理念実現に向けて、水産に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定される中期計画で、概ね5年ごとに見直すこととされており、前計画(平成14年3月閣議決定)から5年経過することから、平成18年1月に農林水産大臣から水産政策審議会(小野征一郎会長)に対して基本計画の変更についての諮問が行われていました。 新たな基本計画では、始めに、水産業をめぐる情勢の変化として、消費面での「魚離れ」と流通面での卸売市場経由率の低下、国際化の進展と水産物の世界的需要の高まり、資源状況の悪化、漁業生産構造の脆弱化などを指摘したうえで、水産政策の改革の必要性を説いています。 また、水産物の自給率については、10年後(平成29年度)の食用魚介類の自給率を平成17年度比8ポイント増の65%に設定し、この目標達成に向けて、水産物消費の減少傾向に歯止めをかけるとともに国内漁業生産の増大を図ることをもって、自給率の着実な向上を目指すこととしました。 水産業をめぐる情勢の変化に的確に対応し、水産物の自給率の目標を達成するため、 @ 低水準にとどまっている水産資源の回復・管理の推進 A 国際競争力のある経営体の育成・確保 B 新しい経営安定対策の導入など活力ある漁業就業構造の確立 C 漁港と消費者をつなぐ流通経路の構築など流通施策の展開 D 食育・魚食の普及促進 E 水産業の未来を切り拓く新技術の開発・普及 F 漁港・漁場・漁村の総合的整備と水産業・漁村の多面的機能の発揮 などの施策を総合的かつ計画的に講ずることとしました。 これを受けて、水産庁では、各分野における改革を着実に具体化して速やかに実施するため、法改正や施策の具体化向けた手順と時期を明示した工程表を公表し、明確な目標設定の下での工程管理を実施することにしています。 (農林水産省、水産庁)
「水産基本計画」に関して、全国町村議会議長会(川股博会長)では、「国の予算並びに施策に関する要望」(平成18年7月20日決定)及び「第50回町村議会議長全国大会の要望」(平成18年11月22日決定)の中の「水産業振興対策の強化に関する要望」において、新計画の策定について言及し、水産業関連施策の推進について、政府・政党関係者に対し強く要請を行ってきました。
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