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【地方分権】地方分権改革推進委員会が第一次勧告

 平成20年5月30日、地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)が福田康夫内閣総理大臣に「第一次勧告−生活者の視点に立つ『地方政府』の確立」を提出しました。
 地方分権改革推進委員会は、平成19年4月1日に発足し、翌4月2日の初会議以降、第一次勧告を決定した平成20年5月28日まで計49回の審議を重ねてきました。
 第一次勧告は、丁度一年前の平成19年5月30日に公表された「地方分権改革推進にあたっての基本的考え方」で定立した「基礎自治体優先の原則」の基本原則に忠実に、主として基礎自治体である市町村の自治権の拡充をはかる諸方策について勧告したものであります。全5章で構成されており、主な内容は次のとおりです。

 第一章の「国と地方の役割分担の基本的な考え方」では、地方分権改革は、「団体自治」の拡充と「住民自治」の実質的な確立が一体となって実現するとし、「地方が主役の国づくり」に向け、@地方政府の確立のための権限移譲、A完全自治体の実現、B行政の総合性の確保、C地方活性化、D自治を担う能力の向上に取組む必要があるとしています。
 そして、住民に身近な行政は地方で担い、「国と地方の二重行政」を排除する観点から、現状の役割分担の類型(重複型・分担型・重層型・関与型・国専担型)に応じて、国と地方の役割分担の区分けを見直すこととしています。
 また、市町村合併の進展等を踏まえ、都道府県から市町村への権限移譲を推進することとしています。

 第二章の「重点行政分野の抜本的見直し」では、個別の行政分野について、
・保育所や老人福祉施設等の施設整備に関する基準及び公営住宅の整備基準については、国は標準を示すにとどめ、具体的な基準は地方自治体が地域ごとに条例により独自に決定し得ること
・「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」及び「区域区分」に係る国の同意を廃止すること
・農地転用に係る国の許可権限を都道府県に移譲するとともに、国との協議を廃止すること
・大気汚染防止法及びダイオキシン類対策特別措置法について総量削減計画策定に係る環境大臣の同意を廃止すること
・循環型社会形成推進地域計画作成にあたっての協議会の設置の義務付けを廃止すること
等を勧告しています。
 直轄国道や一級河川については、その位置付けを変えずに、原則として都道府県に移管することとし、個別の対象道路・河川については地方自治体と調整を行った上で、第二次勧告までに具体案を得ることとしています。
 このほか、認定こども園制度の一本化に向けた制度改革、保育所入所要件、保健所長の資格要件、県費負担教職員の人事権移譲と給与負担などについては、「平成20年度中に結論を得る」こととしています。
 また、国の出先機関等の見直しに関連するものについては、さらに検討を進め、第二次勧告において結論を得る予定であるとし、さらに、全体としての地方税財政の問題については、第二次勧告後に包括的な検討を行い、勧告する予定であるとしています。

 第3章の「基礎自治体への権限移譲と自由度の拡大」では、都道府県から市町村への権限移譲について、64法律359の事務権限の移譲を勧告しています。例えば、まちづくり分野として宅地開発や商業施設等の開発行為の許可等を市へ、福祉分野として特別養護老人ホーム、保育所等の設置認可・指導監督等を市へ、産業安全分野として高圧ガスの製造・貯蔵・販売の許可等を市町村へそれぞれ権限移譲することとし、移譲に伴う必要な財源措置を地方税、地方交付税等を通じて確実に講ずるとともに、移譲された権限にあわせた人的支援についても適切に対応することが不可欠であるとしています。
 また、補助対象財産の財産処分(転用、譲渡、取壊し等)の弾力化については、原則、10年経過後の財産処分は、届出・報告等をもって国の承認があったものとみなし、承認の際は、国庫納付を求めないこととしています。なお、このことについては、勧告後、地方分権改革推進計画の策定を待つことなく、すみやかに実施することとしています。

 第四章の「現下の重要二課題」では、「道路特定財源の一般財源化」と「消費者行政の一元化」を現下の重要な課題としてあげています。
 道路財源の一般財源化については、今年の税制抜本改革時に制度設計を検討するにあたっては、税源移譲を含め地方自治体の税財源を充実強化する方策を講じるとともに、地方自治体の道路整備の自由度を最大限拡大する方策について真摯な検討を行うべきであるとしています。
 また、消費者行政の一元化については、消費者行政における国の役割は、全国的に統一する必要のある安全基準の策定や全国的に展開する営業許可の付与及び取消し等に限定することを基本とし、事故の未然防止、事故の報告徴収、立入検査や指示、改善命令、営業停止処分等の規制制限は幅広く、都道府県に移譲することを基本とすべきであるとしています。

 第五章の「第二次勧告に向けた検討課題」では、国の出先機関の改革の基本方向について、二重行政の解消に向け、国と地方の役割分担の類型(@重複型、A分担型、B関与型、C国専担型)に沿って国の出先機関の廃止・縮小を検討することとしています。
 また、法制的な仕組みの横断的な見直し等については、国の法令による義務付け・枠付けの廃止縮小に向け、各府省に対し網羅的な調査を実施し、第二次勧告に向けての見直し作業を進めることとしています。さらに、地方自治関係法制の見直しについては、@地方自治体における行政委員会の必置規制の緩和、A「開かれた議会、討論する議会、衆知を集める議会、行動する議会」に向けた地方議会制度改革、B地方自治体の財務会計の透明性の向上と自己責任の拡大、C小規模自治体における機関(行政委員会、監査委員等)の共同設置や広域連携の促進など、制度に関する選択の余地を拡大する方向で、地方自治関係法制の見直しを求めていくこととしています。



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