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【地方分権】地方分権改革推進委員会が第2次勧告

 平成20年12月8日、地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)が麻生太郎内閣総理大臣に「第2次勧告−「地方政府」の確立に向けた地方の役割と自主性の拡大」を提出しました。
 地方分権改革推進委員会は、平成20年5月28日に第1次勧告を提出し、国と地方の役割分担の基本的な考え方として、「重点行政分野の抜本的見直し」、「基礎自治体への権限移譲の推進」、「補助対象財産の財産処分の弾力化」についての提言を行い、第2次勧告に向けた検討課題として、「国の出先機関の改革の基本方向」や「法制的な仕組みの横断的な見直し等」を挙げていました。
 今回の第2次勧告はこれを受けて、第1章「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」、第2章「国の出先機関の見直しと地方の役割の拡大」で構成されており、主な内容は次のとおりです。

 第1章の「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」において、地方政府の確立には自治行政権、自治立法権の確立が不可欠であるとし、そのためには条例により法令の規定を「上書き」する範囲の拡大を含めた条例制定権を拡充し、法制的な観点からも地方自治体の自主性を強化し、政策や制度の問題も含めて自由度を拡大するとともに、自らの責任で行政を実施する仕組みを構築することが必要であるとしています。
 こうした観点から、見直しの方針では、自治事務のうち、国の法令によって義務付け・枠付けをし、条例で自主的に定める余地を認めていない条項のうち、メルクマール(判断基準)に該当しない条項については、
 @廃止(単なる奨励にとどめることを含む。)
 A手続、判断基準等の全部の条例委任又は条例補正(「上書き」)の許容
 B手続、判断基準等の一部の条例委任又は条例補正(「上書き」)の許容
のいずれかの見直しを行う必要があるとしています。
 メルクマール該当・非該当の判断については、482法律10,057条項のうちメルクマールに該当するものは4,389条項(51.8%)、該当しないものは4,076条項(48.2%)であり、その中で全国知事会及び全国市長会の提言等に係るものについては、184条項のうちメルクマールに該当するものは15条項(8.3%)、該当しないものは165条項(91.7%)であるとしています。

 第2章の「国の出先機関の見直しと地方の役割の拡大」については、見直しの基本的な考え方として、国は本来果たすべき役割を重点的に担う等、国と地方の役割分担を明確にし、「二重行政」の弊害を徹底して排除し、国と地方を通じた簡素で効率的な行政の実現をはかることとしています。
 今回の見直しの対象とした8府省15系統の出先機関の事務・権限の見直しの検討について、「国の出先機関の見直しに関する中間報告」(平成20年8月1日)で具体化した「国の出先機関の事務・権限の仕分けの考え方」に沿って、@重複型、A分類型、B関与型、C国専担型の4種類に分け、廃止(民営化、独立行政法人化を含む。)の検討や、地方自治体に移譲を検討するものなどの仕分けを行い、国土交通省地方整備局や農林水産省地方農政局など6つの出先機関を統合し、新たに「地方振興局」、「地方工務局」に再編、内閣府が所管することとしています。
 組織の見直しでは、二重行政の弊害是正の観点から、@府省を超えた総合的な出先機関への統廃合、A同一府省における出先機関の統廃合、B府県単位機関のブロック単位機関への統廃合を行うものとし、二重行政の弊害がないものについては現行の組織を存続するものとしています。また、地域との連携やガバナンスの確保の仕組みとして、総合的な出先機関と地方自治体の首長との協議機関として「地域振興委員会(仮称)」の設置や公共事業の適正性、透明性を確保する仕組みを拡充すべきであるとしています。
 出先機関の改革の実現については、勧告の方向に沿って、改革の実現に向けた工程表を平成20年度内に策定し、強力に推進するための体制づくりを政府に要請しています。
 これらの改革により、まず総人件費改革などでも定められた約7,700人の人員削減を行うとともに、直轄国道や一級河川の地方への移管、農林統計等の農政関係の事務の見直しを中心に1万人程度を出先機関から地方に移し、さらに将来的には、国のハローワークや公共事業関係の職員の地方への移管を行うことなどにより、出先機関職員のうち、合計3万5,000人程度の削減を目指すべきであるとしています。

 最後に、第3次勧告に向けて、地方自治体が自らの責任で効率的な自治体運営を行えるよう、分権型社会にふさわしい税財政構造の構築について調査審議を進め、国と地方の財政状況や抜本的な税制改革の動向に留意しつつ、国庫補助負担金、地方交付税、国税から地方税への税源移譲を含めた税源配分の見直し、さらには地方債まで含め、一体的に検討し、あわせて、地方自治体間の財政力格差を是正する方策について検討し、その格差の縮小を目指すこととしています。
 また、地方自治体における行政体制の整備や地方自治関係法制による制度規制の緩和を進める観点から、例えば、地方自治体の行政委員会、地方議会、財務会計、広域連携等の制度等に関し、制度に関する選択の余地を拡大する方向で関係法制を見直すなど、分権型社会に対応した地方行政体制の基盤を整備するための課題についても、引き続き調査審議を進めることとしています。



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