総務省は、平成22年5月24日(月)、7階省議室において地方行財政検討会議(第4回)を開催しました。 会議では、冒頭、小川政務官から挨拶があり、その後、西尾 勝主査(第一分科会)、碓井光明主査(第二分科会)から、それぞれの分科会における「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」(案)が示されました。 これに対し、野村 弘会長(長野県上松町議会議長)は次のような趣旨の発言をしました。
1 第1分科会関係 ○ 現行憲法のもと、我が国の地方自治、とりわけ住民自治が発展していくためには、現 在の二元代表制において、長と議会が健全な緊張関係を保ちつつ、それぞれの役割を的 確に果たしていくことが必要。 ○ 長に優位になっている現行制度を改めバランスをとることが必要。具体的には、議会 の招集権、長の不信任および議会の解散、再議制度、議会の予算執行権などを見直すべ き。 したがって、議会内閣制については、仮に選択肢の一つとしても採用すべきではない。 ○ 自治体の規模により議会運営も異なっているにも拘わらず、現行自治法では、議会の ことがかなり詳しく規定されている。 ○ 今後の地方議会の組織・運営については、法で規定することは基本的なものにとど め、可能な限りそれぞれの地域の実情を反映できるよう自治体の条例に任せるべき。 ○ 自由度と選択肢を広げるというのであれば、都道府県や市町村、あるいは人口規模等 によって、国が選択肢を狭めるのではなく、自治体が自由に選べるようにすべき。 ○ 町村の場合、人口減少や処遇面で議会議員のなり手を恒常的に確保するのが非常に困 難。この際、選挙制度や労働条件を大きく見直し、女性やサラリーマン、他の自治体で あれば、公務員も自由に議員になれるようにすべき。
2 第2分科会関係 ○ 自治体において、同じような不祥事が繰り返されている実態は、監査制度というより は、執行機関が自己責任を満たす組織となっていないことに原因があるのではないか。 ○ 職員の定数減等により、執行機関内におけるチェックがないまま、職員一人に何もか も委ねてしまう余裕のない体制になっていることが不祥事を防止できない要因ともなっ ている。 ○ 内部統制がしっかりしていれば、不祥事があったとしても、組織を揺るがすようなこ とにはならないと思う。まずは人材の確保を含め内部統制の構築が肝心。 ○ だからと言って、現行のような監視機能が不要というわけではない。誤った法解釈や 不適正な財政運営を正すのが監査委員であり議会。そして、これらが自治体内にあっ て、執行機関から独立していることが自治体の自浄作用としての意味がある。 ○ 自治体だけで適正化できないものをチェックする機関として、外部監査が必要と思わ れるが、その条件として行政のことをよくわかっていること、財務に詳しいこと、独立 性が高いこと、経費が大きくないことが求められる。 ○ そういう点で、自治体共同の監査機関を立ち上げていただければ、独立性、専門性も 高く、費用的にも安心して外部監査を任せられる。 ○ 財務会計制度の見直しについては、不適正な経理の要因ともなっている国庫補助金制 度のあり方を見直すことは是非とも必要。また、なんでも民間準拠が行政に合っている とは思えない。税と予算を基本とする行政に即した制度を検討すべき。 ○ 議会も執行機関も監査も住民主権が最大限実現されるような制度設計が求められてい る。
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