総務省は、平成22年10月18日(月)、7階省議室において地方行財政検討会議(第6回)を開催しました。 会議では、冒頭、逢坂政務官から、菅内閣改造人事により本会議に片山総務大臣、鈴木副大臣、逢坂政務官が就任したこと、また、6月22日に決定した「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」に基づき、前回の第5回会議以降、各分科会で地方自治法の抜本改正に向けての議論がなされてきたことが報告されました。 その後、自治行政局長より会議資料の説明が行われ、途中、片山総務大臣が会議に参加、「菅改造内閣においても引き続き従来の方針に従って地方自治法の抜本改正の議論を進めていくこと、また、今までの改革は団体自治の改革が主だったので、今後は住民自治の改革が必要である」旨の挨拶がありました。 これに対し、野村 弘会長(長野県上松町議会議長)は次のような趣旨の発言をしました。
<第1分科会関係> ○ 地方公共団体の基本構造について、住民自治の発展には、現在の二元代表制におい て 、住民の代表である議会と長が健全な緊張関係を保ち、それぞれの役割を的確に 果たしていくことが必要。そのため、長に優位になっている現行制度について、バラン スをとることが重要との考えから、議会の招集権、長の不信任及び議会の解散、再議制 度、議会の予算執行権などを見直すべきである。 ○ 地方公共団体における基本構造の選択肢を用意するにあたり、大枠を自治法で規定す ることとして、その際、都道府県や市町村、あるいは人口規模等によって選択肢を狭め るのではなく、自治体が自由に選べるようにすべきである。 ○ 議会内閣制については、二元代表制において、長の権限拡大、監視機能の低下が懸念 され、バランスを欠くことになるので採用すべきではない。 ○ 現行自治法では、議会のことがかなり詳しく規定されているが、今後の地方議会の組 織・運営については、法で規定することは基本的なものにとどめ、可能な限りそれぞれ の地域の実情を反映できるよう自治体の条例に任せるべきである。 ○ 町村の場合、人口減少や処遇面で議会議員のなり手を恒常的に確保するのが非常に困 難になっていることから、選挙制度や労働条件を大きく見直し、女性やサラリーマン、 他の自治体であれば、公務員も自由に議員になれるようにすべきである。 ○ 議会の招集権について、我々が求めているのは、定例会・臨時会を問わず、招集権 の議会への付与である。これは、議会の招集を長に請求したにもかかわらず、招集がな されなかった事実に対応できるようにするだけでなく、本来、議会を開くそのものの鍵 は議会にあると考えているためである。 ○ その際、執行部をむやみに拘束し、住民サービスに支障を来すことのないようにする のは議会としても当然の義務であり、住民が困るような議会招集を行えば当然、住民か ら批判されるわけで、長とも調整して決定する仕組みとすれば問題はない。 ○ 専決処分は、議会の議決権が軽視される一因となっているため、議会が不承認とした 場合、その効力が存続するものは将来効力を失わせ、改めて提案させるなどの措置を義 務づけるべきであり、是非この機会に法制化してほしい。また、専決処分の対象を厳格 かつ明確にすることも併せて検討することが必要である。
<第2分科会関係> ○ 監査制度について3つの見直し案が出されているが、それ以前に、執行機関が自己の 会計チェックを十分に果たす組織となっていないことが問題であり、もっと、内部統制 をしっかりできるような体制整備を考えるべきである。 ○ 監査の独立性を担保するため、監査委員にあっては、その選任を議会で行わせること 、外部監査にあっては、自治体が共同して、地方向けの独立した監査法人組織を設立す ることが望ましい。 ○ 財務会計制度について、不適正な経理の要因ともなっている国庫補助金制度のあり方 を見直すことは是非とも必要。また、なんでも民間準拠が行政に合っているとは思わな いので、税と予算を基本とする行政に即した公会計制度を検討すべきである。
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