「今後の町村議会のあり方と自治制度に関する研究会」・「町村議会の制度・運営に関する検討委員会」意見交換会を開催
学識者で組織する「今後の町村議会のあり方と自治制度に関する研究会」と各都道府県町村議会議長会会長のブロック代表で組織する「町村議会の制度運営に関する検討委員会」では、それぞれの立場から町村議会が抱える課題として、議員定数や議員報酬を含む議員活動の実態とそのあり方について、平成23年2月18日(金)に、今村委員長が会議の進行を務め、意見交換が行われました。 それぞれのテーマに関する意見は次のとおりです。
<地方自治法の一部改正に関する意見> (委員会委員の意見) ・議員定数の上限撤廃で基準がなくなり、さらなる議員数の減少が懸念される。最低限の人数を決めてほしい。 (研究会委員の意見) ・自治法改正の動向については全体像が不明で、住民投票や直接請求の制度改正は議会への影響が大きく懸念される。 ・住民の構成とかけ離れない議会のあり方を考える場合、今回の改正案は、一定規模の都市、地域を想定していると思われる。町村の場合は住民が高齢化しており、総務省、行財政検討会議で想定しているような議会構成にはならない。
<議会・議員活動に関する意見> (委員会委員の意見) ・行政のサービスと議会のサービスは違うところがあって、議会サービスについて議論し、内容を戸別配布しているグループもいるが、執行部と議会が方向の違うことを説明するわけで、かえって住民は不信を持つ場合もある。 ・兼職の議員の生活実態は様々で、議員活動の範囲を一つの答えとして集約することは困難である。議員活動は月によっても様々である。 ・議員は会議に出ているだけという意見に対して、ほかにもいろいろな活動をしているということを理解してほしい。それを客観的に定量的に示す手法は何かと考えている。 (研究会委員の意見) ・委員会の運営は一定人数が必要であり、7人から11人必要ではないか、人数が少ないと発言は活発にならない。 ・議会報告会を定期的にやって意見交換をしていく、しっかりと執行機関と渡り合っていく等によって権限が議会にあることがわかれば住民は議会に向く。住民は議会のほうには権限がないとみなしているが本当はあるはず。
<議員定数・議員報酬に関する意見> (委員会委員の意見) ・議員定数・報酬は、少なければ少ないほどよいと住民は言うが、一方で、一生懸命行政のことを考えている住民からは、若い人材を議会に出したいと考えるものの、報酬が低く生活できないため選挙に出てほしいとはいえないジレンマに陥っている。 (研究会委員の意見) ・議員定数も減る一方であり、地方行財政検討会議や国において住民のバランス、構成などを考えるべき。 ・実際に地方議会議員活動の時間調査のデータはない。議員の位置づけや報酬に関しドイツの例がある。8時間議会活動をしてほかの経済活動ができないのだから、その経済活動によって得られた逸失利益を補償しなければならないということで、それを金額にすると日本の議員報酬よりはるかに高く措置されていることを考えると時間調査をやってみたらどうかと考える。 ・議員報酬は何に対して払われるのかを示すことは難しい。8時間働いたから幾らということにはならないのではないか。
<合併に関する意見> (委員会委員の意見) ・合併について、町民から住民投票かアンケート調査実施をやるべきとの要請があったが、議会こそが町のことを考えて決定すべきとの考えから、合併しない道を選択した。結果については現在よかったと感じているが、住民の意向も聞くべきであったかと感じている。町役場等の公共機関の職員を減らすことは、財政効率化につながる一方で、町民の職場の減少となる。
<選挙に関する意見> (委員会委員の意見) ・移住者の投票率は低く、住民活動にも参加しない傾向がある。
町村議会の制度運営に関する検討委員会 出席委員
副委員長 廣谷 武 大阪府河南町議会議長 委 員 川股 博 北海道由仁町議会議長 委 員 岡ノ谷佳子 神奈川県真鶴町議会議長 委 員 野 榮司 新潟県湯沢町議会議長 委 員 小永 正裕 高知県黒潮町議会議長 委 員 畠中 征郎 宮崎県綾町議会議長
今後の町村議会のあり方と自治制度に関する研究会 出席委員
委 員 長 今 村 都南雄(山梨学院大学大学院社会科学研究科長・中央大学名誉教授) 委 員 牛 山 久仁彦(明治大学政治経済学部教授) 委 員 江 藤 俊 昭(山梨学院大学法学部教授) 委 員 金 子 優 子(山形大学人文学部教授)
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