平成18年度地方財政対策について
−地方交付税総額確保を中心として−
平成17年12月7日 地 方 六 団 体
地方財政計画における地方一般歳出の多くは、国の法律等で実施を義務付けられているものであり、地方交付税は、地方団体が標準的な行政サービスを提供するために不可欠なものである。 しかし、一部で財源不足の解消という名のもと、地方財政計画と決算の乖離を理由に地方財政の歳出を削減し、地方交付税を見直すとの議論がある。さらには、地方交付税の財源保障機能の廃止などの機能論の見直しが議論されている。 国と地方が一体となって行政水準を確保するためには、適切な地方財政計画の策定を通じた地方交付税総額の確保が、地方自治体の行財政運営上、不可欠なものである。 我々地方団体は、地方自治の本質を見失った単なる歳出削減ではなく、真の地方交付税改革を求めるものであり、平成18年度の地方財政対策に向けて、以下の事項の実現を求めるものである。
記
(地方財政対策等) 1 地方交付税総額の確保 平成18年度の地方交付税については、昨年11月26日の政府・与党合意及び「基 本方針2005」の趣旨に基づき、地方団体の安定的財政運営に必要な地方交付税総額 を確保すること。
2 財源調整、財源保障機能の強化 税源移譲に伴い財政力格差が拡大する財政力の弱い地方団体に対しては、地方交付税 の財源調整、財源保障機能を強化すること。 また、地方財政全体としても、個別の地方団体においても、地方交付税の所要額を必 ず確保すること。
3 地方交付税の法定率分の再セット ・ 毎年の財源不足の補てんについて、原理原則に立ち返り地方交付税の法定率分の再 セット(引き上げ)で対応することを基本とすること。
・ 所得税から個人住民税への税源移譲に伴う地方交付税原資の減少額については、地 方交付税率の引上げ等により確保すること。
4 地方財政計画における決算乖離の同時一体の是正 地方財政計画と決算との乖離の是正にあたっては、住民ニーズの変化等を受けて、地 方団体の財政需要が施設整備等のハード中心から少子高齢化対策、環境対策、人材育成 等のソフト中心へと変化している実情等を踏まえたうえで、平成18年度以降について も、引き続き、投資単独事業費と一般行政経費の同時一体的な規模是正を図ること。 5 地方交付税・地方財政計画の透明化と地方の意見の反映 地方交付税算定の簡素・透明化を図り、各地方団体毎の地方交付税見積額及び単位費 用の積算根拠等について早期に具体的な情報を提供すること。地方財政計画に関する情 報について、早期の情報提供と計画策定過程の透明化を進め、地方の意見を反映する仕 組みの具体化を図ること。
6 中期地方財政ビジョン策定への地方の参画 「中期地方財政ビジョン」について、地方六団体の参画を得て策定すること。 また、策定に向けてのタイムスケジュールを早期に提示すること。
(施設整備費) 1 国庫補助負担金改革に伴う施設整備への適切な財源措置 国庫補助負担金改革に伴う税源移譲対象の施設整備事業については、その税源移譲割 合が5割とされているが、地方団体全体としての必要な事業量は確保すること。また、 個別の地方団体にとっては、臨時的かつ巨額の財政負担となることから、各地方団体の 財政規模も考慮しつつ、事業の円滑な執行が確保され、平準的な財政運営が可能となる よう、地方債と地方交付税措置の組合わせにより万全の措置を講じること。
(児童手当) 1 児童手当拡大に伴う地方負担への税源移譲 児童手当の拡充について議論されているが、所要額のうち今回の三位一体改革による 負担率の変更に伴い増加する地方負担については、税源移譲すべきである。 なお、制度拡充の検討にあたっては、地方の意見を十分尊重すべきである。
(改革の継続) 1 平成19年度以降の「三位一体の改革」の実施 平成18年度までの補助金改革では、我々地方が主張した真の地方分権の理念に沿わ ない内容や課題が含まれている。このため、平成19年度以降、更なる改革を強力に 推進すること。また、「地方財政に関する総務大臣と地方六団体会合」を引き続き定期 的に開催すること。
(国・地方を通じた行財政改革の推進) 1 地方の行財政改革 納税者である住民の信頼に応えるべく、地方公務員の定員管理の適正化や給与制度の 見直し等、地方の行政改革について、より一層徹底した行財政の効率化に取り組んでい く。
2 国の行財政改革 行財政改革については、国・地方を通じた改革が必要であるが、国の改革はほとんど 進んでいない。国は、国庫補助負担金改革を進め、定員削減を含めた国家公務員の配置 の見直し、国の事務の抜本的見直しなど、国の行財政改革を徹底、推進すること。
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