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今後の地方分権改革の進め方について

                           平成18年1月18日
                            地 方 六 団 体

 昨年末の税制改正大綱や地方財政対策及び政府予算案において、小泉内閣総理大臣が進める「国から地方へ」の改革の具体化が図られたことは、今後の地方分権を進める上で大きな前進である。しかしながら、国庫補助負担金改革は、真の地方分権の理念に沿わない補助率の引下げや交付金化など課題が多く含まれている。
 また、「基本方針2005」等の趣旨を踏まえて地方交付税など一般財源総額が確保されるとともに、地方財政計画と決算との乖離について同時一体的な規模是正が図られたことは、国と地方の一定の信頼関係が保たれたものと受け止める。しかし、平成18年度までの改革の期間中、地方交付税は大幅に削減され、極めて厳しい地方財政運営を余儀なくされているのが現状である。
 政府・与党合意にも明記されているとおり、地方分権に向けた改革に終わりはない。平成19年度以降も更なる改革を強力に推進するとともに、地方公共団体が住民に対して責任を持って自立した行財政運営ができる地方分権型社会の構築に向け一層努力していく必要がある。
 よって、今後国においては、以下の内容について実現するよう要請する。


                     記

1 地方税源の拡充強化
  国と地方の最終支出の比率と租税収入の比率において大きな乖離が生じている。地方
 が真に自主的、自立的な行財政運営を行うためには、国から地方への税源移譲等により
 地方税の充実を図り、この乖離を縮小していくことが重要である。
  今後は、国と地方の適切な役割分担を踏まえつつ、地方が担うべき事務と責任に見合
 った税源配分に向けて、抜本的な改革を目指すべきである。

2 地方交付税 
  地方公共団体が、地域に必要な行政需要に的確に対応するためには、適切な地方財政
 計画の策定を通じた地方交付税総額の確保が必要不可欠である。また、地方交付税算
 定の透明化を図るとともに、地方交付税を政府の政策誘導の手段として用いることは、
 今後、順次縮小すべきである。
  地方財政計画については、地方公共団体の財政需要が投資から経常に変化している実
 態を的確に反映させ、引き続き、計画と決算との乖離の同時一体的な規模是正を行うべ
 きである。
  今後、国においては、地方六団体の参画を得て、「中期地方財政ビジョン」を早急に
 策定するとともに、財源不足額について、臨時財政対策債で補てんすることなく、地方
 交付税の法定率の見直しで対応すべきである。
  なお、所得税から個人住民税への税源移譲に伴う地方交付税の原資の影響額について
 は、地方交付税の法定率の引上げの措置を実施すべきである。


3 国と地方の役割分担の明確化とこれに対応する国庫補助負担金改革
  平成18年度までの国庫補助負担金改革は、国の負担率の引下げによるものが含まれ
 ているなど、地方の自由度の拡大という観点からは十分な成果が上がっていない。
  今後、国と地方の役割分担を明確化し、負担の原則を確立したうえで、地方の自由度
 の拡大に資する国庫補助負担金改革を進めていくべきである。


4 国による過剰な関与・規制の見直し
  「基本方針2005」においても、国の地方公共団体が実施する事業への細部にわた
 る規制や関与などを大胆に撤廃する方針が示されている。
  これまでの「国の関与・規制の見直し」に対する国の取組は、全く手つかずの状況
 である。例えば、公立保育所の運営費は一般財源化されたにも関わらず規模や設置場所
 等国の規制が残り、地域の実情に合わせた事業が実施できない。また、中山間地域総
 合整備事業により整備した活性化施設では、国の手引き書により直売施設が認められて
 いないため、地域住民にとっては、地元農産物、特産物等の販路拡大等による地域農業
 の活性化に資することができないなど、地方公共団体の判断と責任による行財政運営を
 阻害している。
  地方公共団体の行財政運営に対する自己決定、自己責任の原則を確立するためにも地
 方の改革案で示した改革を積極的に進める必要がある。


5 国・地方を通じた行財政改革の推進
(1)地方の行財政改革
  地方公共団体は、これまで市町村合併による行政組織の再編統合や、国に先んじて行
 財政改革を実行し、国を上回る大幅な定員削減や給与カットなど、懸命に行財政改革に
 取り組んでいる。地方歳出総額も国を上回るペースでこの10年間において大幅に削減
 してきている。
  今後とも、納税者である住民の信頼に応えるべく、地方公務員の定員や給与の見直し
 等、より一層徹底した行財政の効率化に取り組んでいく。

(2)国の行財政改革
  行財政改革については、国・地方を通じた改革が必要であるが、国の改革は依然とし
 て進んでいない。「国から地方へ」の構造改革を進め、地方に権限と財源を移す「地方
 分権改革」を推進することこそが、人員削減など国・地方を通じた最大の行財政改革と
 なる。
  また、国は、地方分権の視点から地方支分部局の再編・統合や国庫補助負担金改革を
 進め、定員削減を含めた国家公務員の配置の見直し、国の事務の抜本的見直しなど、遅
 れている国の行財政改革を徹底、推進すべきである。


6「国と地方の協議の場」等での地方意見の反映
  真の地方分権改革を推進するため、「国と地方の協議の場」を定期的に開催、制度化
 を図るとともに、これまで以上に実質的に地方意見が反映されるような運営をするこ
 と。
 「経済財政諮問会議」においても、地方六団体の代表者が各議員と意見交換する機会を
 設け、平成19年度以降の改革に関する地方の意見を「基本方針2006」に反映すべ
 きである。
  また、「地方財政に関する総務大臣・地方六団体会合」も定期的に開催し、積極的に
 活用を図るべきである。
  なお、地方六団体においては、今後の地方分権改革の進め方や内容について、「新地
 方分権構想検討委員会」でも検討し、具体的に提言することとしているところである。
 総務大臣のもとでも「地方分権21世紀ビジョン懇談会」が設置されているが、今後意
 見交換等を行っていく必要がある。


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