日 時:平成17年6月1日(水)午後1時30分〜午後1時55分
場 所:日本武道館会議室
出席者:全国知事会会長 麻 生 渡 全国都道府県議会議長会会長 米 田 義 三 全国市長会会長 山 出 保 全国市議会議長会会長 国 松 誠 全国町村会会長 山 本 文 男 全国町村議会議長会会長 中 川 圭 一
○麻生会長 今回の大会の趣旨は、第一に分権改革がどのような段階になっているかの状況分析、そして今後我々の進むべき方向を全国の我々の会員に広く理解してもらい、また行動を起こしていこうということ。今日は、このように多くの皆さんに参加していただき、非常に緊張感のある大会ができ、また、大会決議も行い、今後の活動方針について明確な確立ができたことは非常に大きな成果。それと同時に、来賓に単に六団体、連盟だけでなく、広く分権を進める関係団体との連携を深め、国民運動に分権運動を高めるということの大きな一歩を進めることが出来たことは、新しい形体での分権改革だと思う。このように、多くの皆さんの協力の下に、大きな成果を挙げた大会であったと評価している。
○山出会長 今年の会議は時間がかなり長いにもかかわらず、理路正しく整然と最後まで皆さんに参加していただき、分権改革を訴えることができた。今回の会議の特色として、経済団体、婦人団体及び青年団体に参加していただき、分権改革が国民的な広がりを持つようになるための最初の機会であったということで成功したと思っている。これから六団体結束して、初期の目的を達成するために頑張らなければいけないと決意を新たにした。
○山本会長 本日のこの大会は、私ども地方六団体にとって大変有意義なもの。私自身、大会は何回か経験しており、各大会ごと地方自治体の皆さんが大きな意気込みを示しているが、今回は特に民間の団体の皆さんに参加していただいたことで、大きく違いがある。それほど、この地方分権は、今日本にとってやらなければならないものであり、今から作っていくものではないと思う。皆さんがその認識をして、全力をあげて実現のための努力をしていくという決意を示した大会であったと思う。もう一つは、この地方分権をやるということは地方自治体だけでなく全国民がやるということ。今大会は国民に対して大きくアピールしたと思っている。「成功するよう一層努力いたします」という我々の決意を新たにしたと思っている。
○米田会長 本大会は大成功だったと思っている。地方分権をより確実なものにしようという全国の皆さんの熱意の表れだったと思う。そんな意味からすると、三位一体の改革だけでなく、議会制度も自立・強化を図っていかなくてはならないという思いで今大会を終わらせていただいた。
○国松会長 檀上にいて、最初からヤジが飛ぶなど非常に熱気が伝わってきた。大成功だったと思う。私ども市議会議長会も前回の大会に比べて登録者数が倍増したと聞いている。すなわち、この大会は市議会議長会の中でも大変興味を持たれているということ。今まさに歴史的な地方と国との政治、地方分権がどう動いていくかの分水嶺にあると思う。その中で三位一体改革は必ず成功させなくてはならない。第二段階の三位一体改革、今日の大会でも決議しているが、同趣旨の内容を25日に開催された「全国市議会議長会総会」でも決議しているので、今後、麻生知事会長の下、一致結束して取り組んでいきたいと思っている。
○中川会長 地方分権推進連盟の事務局をお預りしている関係で、政治的な活動ということを議会としては重視してきた。「地方分権新党」という意気込みでこれからも分権改革が着実に実現されるよう、運動を展開していかなくてはならないと思う。未だ道は半ばであり、財源の奪い合いになるのではなく、真の分権を確立し、地方分権が目的ではなく手段であったとするのが国の責務であり、それを勝ち取るまで六団体結束していく決意を新たにした大会であったと理解している。
○北海道新聞 与謝野政調会長の挨拶の内容としては、地方分権の必要性を強調する一方、地方の手当の見直し等、地方の経費削減努力の必要性ということに力点があったように感じたが、会長はどのように理解しているか。
○麻生会長 彼は2つの点を強調した。日本全体が今後発展していくためには、分権が不可欠であるということを明確に強調された。それと同時に、地方側も努力しなくてはならないということも強調された。その努力の中味が、行財政改革や政策形成能力をしっかり持つということだと理解している。
○毎日新聞 今後、更に国民に広く浸透させる方策についてどう考えるか。今日、これから経済財政諮問会議があるが、6000億円の中で、施設整備費を打ち出しているが、建設国債を税源移譲対象にしてもらうために財務省に対してどのような方策を考えているか
○麻生会長 建設国債だから税源移譲の対象にならないというのは、要するに財源が別にあるわけではなく、借金でやっているんだからということ。そういうことなら、国の財政は40%強が歳入面では国債発行によって賄われているわけだから、財源が国債依存であるということであれば、そもそも税源移譲自体が成り立たないという議論をしているに等しい。我々はこういう議論はまったく受付けられない。確かに例えば建設国債の場合、どういう技術的な調整をしていくかという問題はある。ただそれはあくまで手段であり、移譲するということをまず決めて、具体論は後で検討すればよいと考えている。 国民への訴えについては、関係団体との連携を強めていくということと、我々は各団体とも地方に根を生やしているから、それぞれの地域をつうじて、色々なアピールなり説明なりをしていくことを強化していきたい。今後は、関係団体との連携と我々独自の活動が必要ということになる。
○日本教育新聞 税源移譲後について、都道府県民税に移譲するのか市町村民税に移譲するのかという問題があるが、これについてどう考えるか。その背景として、教職員の人事権を中核市に移すということが中教審で議論されているが、学者の間では、人事権を市町村に移すのだから、財源も市町村に移すべきという意見も出ている。その点も踏まえてどう考えるか。
○山出会長 今の段階では、所得税から個人住民税への税源移譲という表現であり、都道府県民税か市町村民税かということは、これからの制度設計の中で議論していきたいと思っている。 中核市への人事権の移譲については、これは、中核市と同時に指定市、都道府県との関係も出てくるので、六団体内部で今後充分に検討していきたい。これと財源の問題は無縁でなく、この問題も議論していきたい。我々が言っているのは、国庫補助金を税源に置き換えるということ、国庫補助金と税源移譲はプラスマイナスゼロ、中立であるという考えであるので、その点を理解してもらいたい。
○朝日新聞 麻生総務大臣の挨拶の中で「皆さんの結束のおかげでここまでやれました」と、去年の成果をかなり評価している一方で、麻生会長は「地方案とはほど遠い」という発言をされていた。双方にギャップがある印象を受けたが、会長としてはどう考えるか。
○麻生会長 我々の方から言えば、3兆円の税源移譲ということは決まっているが、それが実際に実行されるためには、政府はその裏側である国庫補助負担金の削減がなければやらないと言っている。だから3兆円の税源移譲を実現するためには、6000億円を含めた補助金負担金サイドの改革が具体化しなければならない。従って私どもは決して気を許してはいない。そこを具体化しない限りは、結局は全体がうまくいかなくなる。つまり、改革は途上である。その点を見ると、本当は去年一挙にやってしまわなければならないところが、こういう事になっているという意味で、我々としては非常に不満足であり、これを完結させなければならない、非常に課題の大きい状況になっているということ。
○共同通信 本日の大会で、総論については確認されたところだと思うが、各論については、3兆円にこだわらないとか、義務教を対象にしない等、様々な議論が出ているが、この点について、3人のそれぞれの会長はどう意見をまとめていくか。
○麻生会長 これは内部でよく議論をして意見を調整していくということに尽きる。色々な議論が出たら「結束が乱れている」とか「地方が一致していない」とか言われるのは到底理解できない。おおよそ物事を決める際に色々な意見が出るのは当たり前で、それを議論しながら一定の方向を見つけ出していくというのが我々の社会。また、どうしても一致しない部分がでてきた場合に、それを一元化して抑えてしまうというのは民主主義の原則ではない。そういう民主主義の原則に基づきながら、合意形成を図っていきたい。
○山出会長 市長会は700を超える団体があるが、今後も手続きを踏み、色々な内部の組織を使いながら議論をしていきたい。昨年、地方改革案をまとめたわけだから、これから色々な議論をしていかなくてはならないが、小異を捨てて大同につくという考えに立てば、必ずまとまると思っている。それぞれ個々の意見があるのは当然。そこを皆で議論を尽くして、おおよその了解点をが得られるのであって、そんなことはできないとか、市長会の中はバラバラであるとかいうことは、決してない。
○山本会長 今日の話しの中で私自身分からないところがある。削減額は、本当は4兆円ということになっているはず。15年度で16年度分を2兆9000億円削減したわけだが、結局は、義務教のうち退職金手当の負担とか共済の負担等で6000億円は返ってきたため、それを地方へ移譲しようということになった。それが16年度分の1兆円。だから16,17,18年度の3ヶ年で本当は4兆円ということ。それがあまり表に出ることなく、17,18年度で3兆円の削減をしてほしいということで要請が来た。それをまとめたのが3兆2200億円になった。 ところが、実際に税源移譲されるといって政府側から昨年回答があったのが、1兆1159億円。実際に我々が出した3兆2000億円から該当するといって出されたのが1兆7700億円だが、スリム化という言葉を使って、補助金負担金をその分だけ削減した。そのことをスリム化といっている。その分だけの税源移譲6000億円できなかった。ところが6000億円残っているというのが、義務教だとか社会保障分だとかの未解決部分で、それらで政府側が該当している考えているのが6000億円相当額。しかし我々としては、1兆5000億円残っている。そこら辺の食い違いがあるのは確か。 また、なぜ2兆4000億円になるかというと、16年度分で削減した分を6000億円返してきたからそれも入っている。したがって、1兆7700億円に6000億円を足すと、約2兆4000億円になる。そこら辺が数字のトリックにかかっているような感じがある。 しかし、国側からしてみると、スリム化された分でも補助金や交付金の削減になるわけだから、ある程度の目的を達成したことになる。我々は、本当の3兆円を移譲して下さいといっているわけで、そこに大きな差異がある。そこを六団体として実現のための努力をしていかなくてはならない。言われていることと実質が違っている。考え方としては、3兆円をきちんと税源移譲してほしい、それが私達の願いであり、そのためにこれからも努力していかなくてはならないということ。
○山出会長 税源移譲を3兆円ということは公の約束事。ただ麻生会長がいささか不満だとおっしゃたのは、それに見合う国庫補助負担金の改革が伴っていないということ。麻生大臣は3兆円の税源移譲したことは未だかつてないことをしたわけだから画期的だということを言われた。 私は、戦後、分権改革の時期が2度あったと思っている。1つは、1940年代のシャウプ勧告、それは不完全燃焼に終わった。もう1つは1970年代の革新自治体による分権運動あったが、これも不完全燃焼に終わった。我々は今、3回目の分権運動に挑んでいるわけで、今度こそ不完全燃焼で終わってはならないというのが、我々六団体の今日の意思表示であったと思っている。
|
|