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分権時代に対応した新たな地方議会制度の構築に関する決議
平成5年6月、衆参両院における地方分権推進決議に端を発した第1次分権改革は、機関委任事務制度の廃止に象徴される地方分権一括法に結実した。 この結果、地方議会の権限は飛躍的に拡大し、条例制定権はもとより、審議対象は原則全ての事務に及ぶこととなり、今まで以上に政策立案機能、行政執行へのチェック機能を向上することが強く求められることとなった。 しかしながら、これらの期待に応えるために必要な議会の自主性・自立性の強化や二元代表制の下における長と議会の機能バランスを図るための抜本的な制度改革は、ほとんど手付かずの状況である。 このような中、第28次地方制度調査会において、最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革を推進するため、議会のあり方についても審議を行うこととなり、現在、活発な論議が行われている。 我々もまた、自らの活性化方策を提言するため、昨年5月、「第2次地方(町村)議会活性化研究会」を設置し、議会の制度・運営全般、議員の身分・処遇のあり方、長や住民との関係等、新たな議会のあり方とその活性化方策について総合的な検討を行い、本年3月、中間報告をとりまとめたところである。 本会としては、同研究会の中間報告を踏まえ、分権時代に対応した新たな地方議会制度の構築のため、特に別記事項について早急に実現することを強く要望する。
以上、決議する
平成17年5月27日
全国町村議会議長会 都道府県会長会
【別記】 1 議会構成の弾力化 ⑴ 議員定数の自主選択 議員定数については、議会本来の役割、その機能が十分発揮できるよう、「上限 値」の撤廃を含め、地域の実情に応じて地方公共団体が自主的に決定できるようにす ること。 ⑵ 議員の選挙制度の弾力化、兼職禁止規定の緩和 @ 議員の選挙制度については、選挙権と被選挙権との年齢格差をなくすため、被選 挙権を満20歳以上に引き下げること。 A 議員の兼職禁止規定を緩和する方向で見直すこと。
2 議会の機能強化 ⑴ 立法的機能の強化 @ 町村の基本計画は、住民の生命・生活に直結するものも多く、その重要性からみ て地方自治法第2条第4項、若しくは同法第96条第1項に議決事件として追加するこ と。 A 自治事務はもとより、法定受託事務についても原則条例制定権が及ぶとされてい ることから、地方自治法第96条第2項の法定受託事務の除外規定を削除すること。 ⑵ 財政的機能の強化 @ 予算のうち議会費については、長と対等同格という議会の立場を踏まえ、議会側 の提案を尊重することを義務付ける制度を検討すること。 A 百条調査権行使の際に必要な緊急の費用など、議会独自の需要への長の予算措置 義務を制度化すること。 B 予算の議決対象は、政策論議が行えるよう、款・項に加えて目まで拡大するこ と。 C 昭和38年に改正された現行会計制度については、すでに半世紀近くが経過してい るので、全面的な見直しを行うこと。 ⑶ 行政監督機能の強化 @ 監査委員の定数は、地方公共団体が地域の実情に応じて自主的に決定できるよう にすること。 また、監査委員は、その独立性を確保するため、長の任命ではなく議会で選任す るようにすること。 A 地方公共団体が設立した公社及び出資法人等に対し、議会が直接関与できるよう にすること。
3 議会と長の関係 ⑴ 不信任と解散制度の見直し @ 議会と長が別個に公選される首長制の場合、この制度を採用する西欧諸国でも不 信任による罷免は多く見られるが、反対に、対抗措置として議会の解散まで行うと ころはないため、見直しを行うこと。 A 地方自治法第178条の長の不信任議決の要件を過半数か、せめて3分の2まで引き 下げること。 ⑵ 議会招集権の議長への付与 二元代表制で執行部と並立する議会の招集権が長にあるのは不合理なため、地方議 会の招集権は定例会・臨時会を問わず、すべて議長に移すこと。 ⑶ 長の付再議権の見直し @ 付再議権の行使は、長の一方的認定に委ねられており、客観的基準を採用するこ と。 A 一般的付再議権は、特別多数決は適当でなく、単純多数決に改めることを検討す ること。
⑷ 専決処分の要件の見直し 法定委任的専決処分の場合、特にそのほとんどを占める議会を「招集する暇なし」 の理由は、濫用などの課題があり、この「招集する暇がない」の要件を削除するこ と。
4 議会の組織と運営の弾力化 ⑴ 常任委員会の就任制限の撤廃 委員会の審査・調査がより弾力的に行えるよう、常任委員会の1人1委員会の制約 を外すこと。 ⑵ 全員協議会の位置付け 全員協議会は、法制度上は非公式な事実上の会議であるが、実態は公的施設を使 用し、会議の準備も議会事務局が行うなど公的なものといえるため、せめて公式の場 合に準ずる措置が講じられるよう検討すること。
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