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歳入・歳出一体改革等について

                            平成18年 4月13日
                             地 方 六 団 体

 昨年11月の政府・与党合意にも明記されているとおり、地方分権に向けた改革に終わりはない。我々地方六団体は、平成19年度以降も更なる改革を強力に推進するとともに、地方自治体が住民に対して責任を持って自立した行財政運営ができる地方分権型社会の構築に向け一層努力していく。
 そのため、現在、地方六団体で設置した「新地方分権構想検討委員会」において、今後の地方分権のビジョンや地方分権を推進するために必要な権限、財源等について幅広く議論を行っているところである。
 一方、経済財政諮問会議をはじめ様々な場で、歳出・歳入一体改革が議論されている。平成18年度までの改革の期間中、地方交付税は大幅に削減され、地方公共団体は極めて厳しい財政運営を余儀なくされており、地方交付税制度の本質論を無視した地方交付税の削減は行うべきでない。
これまで地方六団体は、地方交付税をはじめ地方税財政改革に対する考え方を、この「総務大臣会合」をはじめ、「経済財政諮問会議」、「国と地方の協議の場」等で主張してきた。6月に決定される「基本方針2006」が、地方六団体の主張を十分踏まえたものとなるよう強く求めるものである。
 本日は、主に現在議論されている歳出・歳入一体改革を中心に地方六団体の考え方を提示する。


1 歳出・.歳入一体改革について
 ⑴ プライマリーバランスについて
 ・ 国と地方のプライマリーバランスを2011年までに改善する試算との関連にお
  いて、地方交付税について一定の前提のもとではあるが、極めて厳しい指摘がな
  されている。地方交付
  税は単なる補助金とは異なり財源保障・財源調整機能を持っており、国と地方の役
  割分担の見直しや税源移譲等の前提もなく、地方交付税の改革が可能とすること
  は、一般の国民に対して地方交付税が単なる補助金であるかのような誤解を与える
  ことになり、適当でない。
 ・ 地方交付税の基準財政需要額の見直しは、国による義務付け等の見直しなしに削
  減の数値目標を設定すべきではなく、先ず国と地方の事務配分や税財源の見直しに
  ついて議論を行うべきである。

 ⑵ 歳出・歳入一体改革に対する提案
 ・ 地方の歳出は、国が法令等によりその実施を義務付けたり、配置基準を設定して
  いるもの、あるいは国庫補助負担金に合わせて支出するものなど、その7割は国が
  関与する経費で占められている。
 ・ 残り3割については、地方はこれまでも国を上回るペースで削減してきており、
  今後も集中改革プラン等に基づいて削減に努める。
 ・ さらなる歳出削減を行うのであるならば、国の関与する7割の部分について削減
  努力を行うべきである。
 ・ 国・地方を通じた歳出削減を行うためには、「国から地方へ」の構造改革を進
  め、地方に権限と財源を移す「地方分権改革」を推進することである。
 ・ 今後は、国と地方の役割分担を明確にし、国の過剰な関与の撤廃、国庫補助負担
  金の削減、地方支分部局の再編・統合により、国と地方の二重行政を排除すべきで
  ある。


2 地方交付税の不交付団体数の増について
  不交付団体数を増やすために配分を変えるとの議論や地方団体の50%位を不交付
 団体にすることなどの議論があるが、不交付団体を増やすことは国による義務付けの
 見直し及び大幅な税源移譲が実現されることによって、初めて可能となるものであ
 る。


3 歳出・歳入一体改革についての地方意見の反映について
  経済財政諮問会議で、歳出・一歳入一体改革について地方が意見を述べる機会を設
 け、「基本方針2006」に地方意見を反映し、あわせて今後の地方分権改革を積極
 的に打ち出していただくよう要請する。

4 公営企業金融公庫改革について
  今通常国会に政策金融改革を含む「行政改革推進法案」が提出され、その中で公営
 企業金融公庫については、「平成20年度において廃止。地方公共団体のための資金
 調達を同公庫により行う仕組みは、資本市場からの資金調達その他金融取引を活用し
 て行う仕組みに移行させる。移行の後の仕組みのために必要な財政基盤を確保するた
 めの措置を講ずる。」とされている。
  廃止にあたっては、上・下水道、交通、病院をはじめとする住民生活に欠かせない
 公共施設の整備のためこれまで公営企業金融公庫が果たしてきた役割・機能を踏ま
 え、次の内容を実現すべきである。
 @ 民間金融機関(貸付期間10年以下の資金中心)が供給困難な長期・低利の資金
  (下水道、交通、病院では28年、平均25年)を供給する機能は引き続き必要。
 A 市場の信認を得て、長期・低利の資金を安定的に調達可能とするため、公営企業
  金融公庫の資産(債券借換損失引当金、公営企業健全化基金等)を全額承継すること
  が必要。
 B 上記の機能を担うためには、地方団体により構成される公法人等新たな組織が必
  要。また、これらを可能とするため、新たな法的枠組みが必要。


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