平成25年10月11日、総理大臣官邸において、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会」、「平成26年度予算概算要求等」、「地方分権改革の推進」、「社会保障制度改革」を協議事項として「国と地方の協議の場(平成25年度第2回会合)」が開催され、全国町村議会議長会の蓬 清二会長(香川県直島町議会議長)をはじめ地方6団体の会長が出席しました。
会議の冒頭、安倍晋三内閣総理大臣から「平成25年度第2回目の開催である。地方にかかわる重要政策課題については、地方と連携して施策を推進していかなければならない。引き続き、この「国と地方の協議の場」を活用していきたい。地方の元気なくして国の元気はない。地域自らの発想と創意工夫により、魅力あふれる地域づくりを進めるため、一連の地方分権改革のうち、残された課題である国から地方への権限移譲等は、私の内閣で着実に実現していきたい。また、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定したことは我が国の再生の好機であり、オールジャパンで取り組み、成功に導きたい。先日、私は消費税を5%から8%に引き上げるという決断をした。社会保障制度をしっかりと次の世代に引き継いでいくという待ったなしの課題に対応するためである。これには、新たな経済対策を中心に国と地方を通じた経済再生と財政健全化を同時に達成する以外には道はない。この確信のもとにこの両方を果断に実行していく。」との発言がありました。 これに対し、地方6団体を代表して、全国知事会山田啓二会長(京都府知事)より挨拶が行われ、その後、それぞれの協議事項について意見交換を行いました。
まず、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会について」は、下村東京オリンピック・パラリンピック担当大臣から「2020年、東京開催が決まったのは、地方公共団体、地方議会のご支援をいただきながら関係者が一丸となった、まさにオールジャパン体制での招致活動が実を結んだものであると考えており、ご協力、ご支援いただいたことを心から感謝申し上げたい。」との発言があり、地方側から次のような発言がありました。 ○2020年東京オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を、国を挙げて、地方を挙げて喜んでいる。これからも地方・国全体を通じて盛り上がる大会にしていただきたい。あらゆる地域に夢を与え、日本の文化の良さをあらゆる地域から発信できるような大会にしていただきたい。 ○地方がおもてなしをしながら一生懸命やっていくには、団結した力の中で、オールジャパンでやって行くということが大事である。 ○地方は選手の強化や観光客の増加、あるいは練習場の提供等、前向きな気持ちでいるので、是非ご支援いただきたい。 ○海外からお客さんや選手等なるべく多くの地域を訪れていただきたい。特に、観光等パッケージを作って受け入れるような方策等を考えていただきたい。
次に、「平成26年度予算概算要求等について」は、地方側から資料2を提出し、山田啓二全国知事会長から説明を行った後、地方側から次のような発言がありました。 ○消費税率の引き上げについては、地方消費税率の引き上げによる安定財源の確保を求めてきており、引き上げの方針を決定したことについては大変評価させていただきたい。 ○簡素な給付措置の実施にあたっては、具体的な実施方法やスケジュールを早期に示していただき、私どもの意見を十分踏まえた制度設計をしていただきたい。また、給付に係る経費については、確実に負担していただきたい。 ○固定資産税の償却資産等、制度の根幹を揺るがす見直しを行なわずに現行制度を維持していただきたい。 ○自動車取得税については、安定的な代替財源を必ず確保して、この措置が同時に実施されない限りは現行制度を維持していただきたい。 ○自動車重量税については、税収の4割が市町村に譲与されている実態を踏まえて所要の財源を確保していただきたい。 ○ゴルフ場利用税については、維持していただきたい。 ○地方財政対策については、引き続き地域経済活性化に取り組む覚悟があり、地方単独事業を含めた財政需要を適切に地方財政計画に反映していただきたい。 ○国民健康保険の運営主体を都道府県に移行していただきたいとお願いしているが、その前提として、国保の財政基盤の強化が必要である。 ○地方公務員給与については、地域経済に影響するので、削減措置は今年度限りにお願いしたい。 ○東日本大震災の早期復興、特に原発事故の対策については、早急な予算確保をお願いしたい。 ○今後、新たな経済対策を策定して、地域活性化のための農業の六次産業化の推進などの措置を具体化する方針とのことであるので、これまでとは次元の異なる地域再生策を大いに期待している。 ○町村にとって命綱である地方交付税に関しては、歳出特別枠を当面維持していただき、必要な総額確保をお願いしたい。 ○国土の強靭化、防災対策について、しっかりした予算を組んでいただきたい。国の事業と同時に、地方も裁量の余地のある財源確保をしていただくなど、長期的な見通しに立った形での対策をお願いしたい。
また、本会の蓬会長からは次のような発言を行いました。 ○それぞれの町村としては、住民のニーズが多様化している中、是非一般財源総額、地方交付税総額を確保していただきたい。 ○償却資産にかかる固定資産税の見直しについては、全国の町村で、企業誘致して頑張っているところがある。償却資産にかかる固定資産税がカットされれば、頑張った町村はあまり力が入らなくなるし、不交付団体も交付団体になってしまう可能性もある。そのようなことにならないように、この問題は見直しではなく、棚上げしていただきたい。ゴルフ場利用税や自動車取得税・重量税についても、他の団体の会長の意見と全く同じであるので十分反映していただきたい。
次に、「地方分権改革の推進について」は、新藤総務大臣兼内閣特命担当大臣(地方分権改革)からは、資料3−1の説明があり、地方側から次のような趣旨の発言がありました。 ○義務付け・枠付けの見直しについては、やはり従うべき基準が多すぎる。責任ある地方を作るためにも、地方がしっかりと説明責任を果たして、条例等できちんと決めて、責任をとる体制を取らないと、本当の意味での地方分権はできない。 ○地方と国との交流が減っているように感じる。もっと交流を行えば、地方分権の価値をお互いに理解できるのではないか。ぜひ現場を見ていただきたい。 ○権限移譲が進むと議会側もしっかりと応じていくためにも、地方自治法をはじめとする諸規定のさらなる見直しということも観点において、ご議論いただきたい。
次に、「社会保障制度改革について」は、田村厚生労働大臣から資料4−1の説明があり、地方側から次のような趣旨の発言がありました。 ○国民健康保険制度については、セーフティネットの最後の部分、ナショナルミニマムの最後の部分を維持するための国の役割というのを十分に認識してもらえれば都道府県も一生懸命頑張っていく。 ○介護保険制度については、実際に介護従事者の給与の問題は検証してもらった方が良いと思う。相変わらず介護現場は人手不足になっている。介護予防が市町村に移る前提ができており、一つ間違うと介護自身が大変な状況になってしまわないかということを心配している。全体のバランスをとっていただきたい。 ○少子化対策については、我々地方も一生懸命やっているが、できるだけ地域がどんどん少子化のために施策を打てるような体制を講じていかなければ、間に合わなくなってしまうという危機感を持っている。少子化についても、ぜひ思い切った対策を講じられるようにお願いしたい。
また、本会の蓬会長からは次のような発言を行いました。 ○国民健康保険制度は、どこの町村も一緒だが、非常に赤字で一般会計から多額を投入しないとやっていけない状況である。したがって、国保の財政基盤強化を早期かつ確実に実施していただきたい。 ○介護保険制度については、それぞれの市町村で内容によって格差が生じないように十分検討していただきたい。
最後に、菅義偉官房長官から「地方の元気なくして国の元気なし。これが基本姿勢なので、これからも皆さんとしっかり連携をしながら取り組んでいきたい。」との発言がありました。
(政府出席者) 安倍 晋三 内閣総理大臣 菅 義偉 内閣官房長官 新藤 義孝 総務大臣・内閣府特命担当大臣(地方分権改革) 甘利 明 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・社会保障・税一体改革 担当大臣 下村 博文 東京オリンピック・パラリンピック担当大臣 田村 憲久 厚生労働大臣 古川 禎久 財務副大臣
(地方六団体出席者) 山田 啓二 全国知事会会長 (京都府知事) 水本 勝規 全国都道府県議会議長会会長 (香川県議会議長) 森 民夫 全国市長会会長 (新潟県長岡市長) 佐藤 祐文 全国市議会議長会会長 (神奈川県横浜市議会議長) 藤原 忠彦 全国町村会会長 (長野県川上村長) 蓬 清二 全国町村議会議長会会長 (香川県直島町議会議長)
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