創立70周年に寄せて
本年、全国町村議会議長会は創立70周年を迎えました。
戦後まもない混乱期に、住民に最も身近な町村の二元代表制の一翼を担う議会議長の連合組織として産声をあげた本会は、戦後復興、高度経済成長、バブル経済と焦土から世界有数の経済大国となった日本の成長を地方から支えて参りました。
平成となってからは、バブル崩壊、金融危機といった経済の低迷期を経験し、少子高齢化といった社会的背景も相俟って、財政基盤の脆弱な町村ではその舵取りに困難を極めながらも、さらには、多くの町村にあっては平成の大合併といった大きな荒波に揉まれながらも、住民の要請に応えるべく、地域社会の振興発展、地方議会制度の充実などの多くの課題に対し成果を挙げてきたところであります。
奇しくも本年は、御代替わりの年にあたり、元号が「平成」から「令和」へと改められました。この節目の年に改めて、昭和、平成、令和の三時代70年間にわたり本会の歴史を築いていただいた諸先輩方の功績に深く敬意を表しますとともに、新しい時代においても、本会が全国の町村議会の先頭に立ち、住民のニーズに合った町村議会像を創りつづけていくことをお誓い申し上げます。

結びに、各町村議会及び各都道府県町村議会議長会のますますのご発展と、関係各位のご活躍とご健勝を祈念いたしまして、本誌刊行のご挨拶といたします。
令和元年11月吉日
第35代会長 松尾文則
歴代会長からのメッセージ
私の会長としての在任期間の前半は、新たに誕生した民主党政権への対応に追われました。予算要求や政策会議における意見陳述ひとつを取っても前例がないことから、文字どおり手探りの状態で、会議に臨んだことを記憶しています。
任期終盤の平成23年3月には、東日本大震災が発生し、未曽有の大震災に驚愕しながらも被災地救済に資するため、直ちに災害対策本部を立ち上げ、政府への要請活動を継続的に行ったほか、被災地の視察、義捐金の募集など早期の復旧・復興に向けた活動を展開しました。あの日から8年8か月が経過し、被災地の復興は大きく前進しましたが、これからが正念場です。真の復興が成し遂げられる日まで、被災地に寄り添う全国町村議会議長会であってほしいと思います。
第30代会長 野村 弘
平成24年末に政権交代によって与党となった自由民主党・公明党は、「道州制推進基本法案」を国会へ提出する動きを活発化させていたことから、全国町村議会議長会では、平成25年に学識者による研究会を設置し、道州制の問題点を明示したうえで、2年以上に亘り「道州制導入断固反対」の運動を展開しました。
この過程で、全国の町村議会に意見書の提出をお願いしたところ、多数の町村議会にご賛同いただきましたことは、反対運動の大きなうねりとなり、法案上程阻止に繋がったものと確信しています。
これからも、町村議会議長のネットワークを大切にし、結束力のある組織として活動を続けてほしいと思います。
第32代会長 蓬 清二
「一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」
これは、天台宗の開祖である伝教大師・最澄の言葉です。
全国の町村に一点の曇りもあってはなりません。もし、曇りのみえる町村があるならば、慈愛の心をもって一筋の光を差し込む。これが全国町村議会議長会の使命であります。
私は、全国の町村が一つも欠けることなく、明るく輝くことのできる社会を構築することこそが、何物にも代えがたい貴い国の宝であると考えます。
全国町村議会議長会におかれましては、これからも幅広く民意を吸収できる慈愛に満ちた組織であり続けていただきたいと存じます。
第34代会長 櫻井正人