監査委員協議会お知らせ

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07/02/08

監査関係ニュース第4号

監査関係ニュース第4号          


1 最近の法改正及び監査関係ニュース
 ◎改正官製談合防止法が成立 (平成18年12月8日可決・成立)
 入札談合等関与行為(官製談合)防止法が、昨年12月に改正・公布されたが、その主な概要とポイントは次のとおり。
 ①発注機関職員に対する刑罰規定の創設
 発注機関職員が、発注機関が入札により行う契約の締結に関し、その職務に反し、談合を唆(そそのか)すこと、予定価格その他の入札に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札の公正を害する行為を行った場合、5年以下の懲役又は250万以下の罰金に処する刑罰規定を創設。
 ②入札談合等関与行為の範囲の拡大
 官製談合の範囲を拡大して、特定の入札談合などを容易にする目的でこれをほう助する行為を追加した。
具体的には、特定入札談合等に関し、事業者等の明示又は黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により入札談合等をほう助することを追加。
 ③損害賠償及び職員の懲戒事由に係る調査結果の公表
 各省各庁の長等は、入札談合等関与行為による国等の損害の有無についての調査、入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無等の調査及び入札談合等関与行為を行った職員に係る懲罰事由に関する調査結果の公表を義務付け。

 ◎自治体監査を強化~会計士や税理士を起用~
(日本経済新聞 平成19年1月9日朝刊より抜粋)
 「全国の地方自治体が予算執行状況などをチェックする監査体制の強化に動き出している。公認会計士などの専門家を起用するケースが増えているほか、監査法人の活用を計画する例もある。官製談合に絡んだ「知事の犯罪」や裏金問題が相次ぐなか、コンプライアンス(法令順守)重視は自治体にとって緊急の課題で、総務省も取り組み強化を求める方針だ。
 1946年の監査制度創設以来、監査委員の定数が見直されることはなかったが、2006年6月の地方自治法改正で、識見の監査委員の定数を自治体の条例により増加できるようになり、体制の強化が本格化した。
 例えば、鳥取県は来年度から監査委員を2人増やし、6人体制にする予定であり、現在は県議2人と元県幹部、婦人団体会長が務めているが、増員分は公認会計士や税理士を充てる。「質の向上」(県監査事務局)が狙い。同時に手薄だった県の出先機関などの監査も充実させる。
 裏金問題が発覚した岐阜県も来年度から定数を2人増やし、学識者を採用する予定であり、また委員の職務を補助する事務局が事前に実施していた調査に監査法人を活用する。
 事務局の体制強化も進む。東京都は来年度から3年間の期限付きで職員に公認会計士を採用。長崎県も税理士を起用する方針である。横浜市は今年度から職員を15人増の47人とした。
 監査委員は長の指揮監督を受けない独立した執行機関だが、都道府県レベルでは公認会計士が委員を務めるのは10都府県(昨年3月末時点)にとどまり、33都府県では元幹部が“天下り”しており十分に機能していないとの指摘があった。
 体制の強化はこうした問題点の解消が狙い。総務省も自治体の財政状態を正確に把握する観点から、事務局機能の強化などの取り組み推進を求める考えである。」

 ◎財政悪化時に市町村にも外部監査を義務付ける ~総務省・2008年度から予定~
    (日本経済新聞 平成19年2月5日朝刊より抜粋)
 「総務省は、2008年度にすべての地方自治体に四種類の財政指標の公表を求め、そのうち一つの指標でも基準を超えて悪化すれば、財政健全化計画の策定や公認会計士による外部監査を義務付ける。第三者が財務内容を点検し、改善に向けた意見を表明することで、自治体に早期の立て直しを促す。それでも財政悪化が進んだ場合は、国の強い関与のもとで、増税や歳出削減の計画策定を義務付ける。総務省が今通常国会(2007年春)に提出する「地方財政健全化法案(仮称)」に盛り込む予定である。」
(参考1)公表を義務付ける財政指標
公表を義務付ける4つの財務指標
①実質赤字比率…税収や交付金に対する普通会計などの赤字額の割合
②連結実質赤字比率…観光事業や宅地造成事業も加えた全会計ベースでの赤字額の割合
③実質公債比率…税収や交付税に対する地方債などの負債の大きさ
④将来負担比率…公営企業や第三セクターを含めて、財政規模に対する負債の大きさを算出。将来、自治体が負担する可能性が高い実質的な負債の大きさを示す。

(参考2)地方財政健全化法案の枠組み
 全ての自治体
・2008年度から4つの財政指標(参考1参照)を毎年度公表
    ↓  2009年秋メド(2008年度決算をもとに判定)
 1つでも基準に抵触した自治体
  ・財政健全化計画を策定・公表
  ・外部監査を義務付け
    ↓
 財政指標がさらに悪化した自治体
  ・財政再生計画を策定・公表(国の同意が必要)
  ・総務省が予算変更などを勧告
  ・再生計画期間内に償還する特例債の発行を許可 

(参考3)「新しい地方公共団体の再生法制(案)について」(総務省・平成19年1月)


 ◎地方公共団体における外部監査制度に関する調査結果を発表
  ~総務省・平成19年2月2日~
 総務省は、2005年度の地方自治体の外部監査制度に関する調査結果を発表した。
 それによれば、まず、包括外部監査については、自治法上で義務付けられている都道府県・政令市・中核市の全98団体に加え、13市区町村が独自に条例制定している。(包括外部監査全体では111団体)
 13市区町村は、岩手県盛岡市、東京都港区、同文京区、同目黒区、同大田区、同世田谷区、同荒川区、同足立区、同八王子市、大阪府八尾市、香川県坂出市、同善通寺市と、町村では、神奈川県城山町であり、いずれも契約の相手方は公認会計士である。
 また、個別外部監査については、都道府県・政令市・中核市の全98団体に加え、43市町村が独自に条例制定している。(個別外部監査全体では141団体が導入)
 条例制定団体のうち、実際に個別外部監査契約を締結しているのは、千葉県千葉市、東京都杉並区、鳥取県境港市、町村では、北海道占冠村の計4団体であり、いずれも契約の相手方は公認会計士である。
 神奈川県城山町と北海道占冠村の外部監査の詳細については、本会が実施し、すでに今年1月に各団体ごと配布している「町村等監査委員に関する実態調査結果の概要(平成
18年度)」を併せて参照いただきたい。

2 全国町村監査委員協議会 第16回定期総会の概要報告
◎第16回定期総会を開催、来年度予算、要望等を決定し、新役員も選任
 本会は、平成19年1月24日、東京の全国町村議員会館で第16回定期総会を開催した。
 会議は、加入道府県の会長・事務局長など約70人の出席のもと、まず栗原公明副会長(鳥取県会長・三朝町)の司会で始まり、はじめに主催者を代表して中村桂太郎会長(宮崎県会長・綾町)があいさつ。中村会長は、「市町村合併の影響により、本会は会員数の激減など厳しい事態に直面しているが、どんなに厳しい状況下にあっても、監査の重要性はますます大きくなるばかりである。特に、最近の自治体において不祥事が相次いでいることや最近の住民監査請求の増加等により、さらに監査体制を整備するとともに、監査機能をより充実させていかなければならない。本会としては、このような状況に対応するため、会員相互の緊密な連携と未加入組織の加入促進を図り、町村監査委員唯一の全国組織として、組織・事業の維持存続に全力で取り組むべきである。また、本会で長年要望してきた「監査委員定数の自主決定」については、先の地方自治法の改正により地方公共団体の条例で識見の監査委員の数を増加することができることとなったが、今の行革の流れで定数を増やせるというこの法改正は、監査や監査委員の重要性を象徴するものだと受け止めている。今後は、各町村においてこの制度改正等を踏まえて更なる監査機能の充実を図られることが望まれる。」と述べた。
 その後、磯田義隆理事(岡山県会長・里庄町)を議長に選出し、議事に入った。議事は、はじめに、中村会長が平成18年1月19日以降平成19年1月22日にいたる「会務報告」を行い、次に「平成17年度決算」を議題とし、金辻信弘監事(京都府会長・加茂町)の監査結果報告を受け、満場一致をもってこれを承認。
 次に、1団体4,000円の年会費とする「平成19年度事業計画及び歳入歳出予算」について、原案どおり決定した。
 その後、「決議」を星野喜美男理事(北海道会長・足寄町)が提案。「監査制度の充実強化に関する要望」については、溝上輝行理事(福岡県会長・太刀洗町)が提案し、満場一致で採択した。
 続いて、採択された要望の実行運動方法を塩入威理事(長野県会長・坂城町))が提案し、その早期実現を期すため、総会終了後、総務省や地元選出国会議員に対し、役員や出席者による実行運動を行うこととなった。
 次に、現役員の任期満了に伴う役員改選を行い、新会長には、尾崎城平神奈川県会長・山北町を選任し、そのほか、副会長2人、理事5人、監事2人の計9人の役員を選任した。(下記※参照)   
 最後に、平塚善司副会長(宮城県会長・女川町)が閉会のあいさつを述べ、定期総会は盛会のうちに閉会した。

※全国町村監査委員協議会新役員(平成19年1月24日選任)
   会 長  尾 崎 城 平 (神奈川県山北町)
   副会長  松 森 恭 一 (岩手県岩手町)
   副会長  西 村 和 夫 (香川県多度津町)
   理 事  星 野 喜美男 (北海道足寄町)
   理 事  南   守 雄 (石川県内灘町)
   理 事  橋 本 圭 祐 (滋賀県木之本町)
   理 事  磯 田 義 隆 (岡山県里庄町)          
   理 事  中 村 桂太郎 (宮崎県綾町)
   監 事  塩 入   威 (長野県坂城町)
   監 事  栗 原 公 明 (鳥取県三朝町)

◎要望事項の実行運動
 本会では、平成19年1月24日、第16回定期総会終了後、採択された要望事項について、その早期実現を図るため、総務省と全国町村会に対し、新役員で実行運動を行った。
まず総務省を訪れ、菅義偉総務大臣のもとを訪問。菅総務大臣には、公務ご多忙のため、面談はできなかったが、尾崎会長から新役員就任の挨拶とともに、要望書を提出。要望項目の早期実現方を要請した。
 また、大野松茂副大臣、松田隆利事務次官、藤井昭夫自治行政局長には、新役員全員で直接面談し、要望書を提出。監査体制の強化と監査機能の充実を訴え、そのための所要の法改正等を要望した。 
 そのほか、公務ご多忙のため、面談はできなかったが、田村憲久副大臣、土屋正忠政務官、同じく、河合常則政務官、谷口和史政務官、瀧野欣彌総務審議官、久保信保官房総務審議官に対しても、それぞれ要望書を提出。
 その後、全国町村会を訪れ、山本文男全国町村会長あてに要望書を提出。特に、事務局の設置など監査体制の強化について要望した。

(参考)監査制度の充実強化に関する要望

 地方分権下の地方行政は、常に公正で合理的かつ能率的な運営を確保することが強く求められており、監査委員の果たすべき役割はますます大きくなっている。
 一方、現行の監査委員制度においては、監査委員は、長が議会の同意を得て選任することから、任命された長に対し、十分な監査ができないとの指摘がある。
 また、監査委員を補助する事務局体制も不十分であると言わざるを得ない。
 よって、政府は、分権時代にふさわしい監査体制を構築し、監査制度の充実強化のため、下記事項の早期実現を図られるよう、強く要望する。

              記

1 監査委員の独立性を確保するため、監査委員は議会において選任するよう改めること。(地方自治法第196条関係)

2 監査体制を充実強化するため、町村においても監査事務局を必置制とし、財政措置を強化すること。(地方自治法第200条関係)
  


         (問い合わせ先)
           全国町村監査委員協議会 事務局
                    担当:渡辺
          TEL 03-3264-8183
          FAX 03-5214-3247

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