文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(山崎正和会長)は、平成19年3月10日、総会を開催し、「教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正について(答申)」を取りまとめ、伊吹文明文部科学大臣に答申しました。 この答申は、内閣に設置された教育再生会議(野依良治座長)の第1次報告を受けた安倍晋三総理大臣が、学校教育法・教育免許法・地方教育行政法のいわゆる教育3法の改正法案を今国会(第166回国会)に提出することを伊吹文部科学大臣に指示したことから、文部科学省が改正案の骨子案を策定し、これを中央教育審議会が審議し、取りまとめたものです。 中央教育審議会の審議では、副校長・主幹・指導教諭などの新たな管理職の新設等を盛り込んだ「学校教育法」と教員免許の更新制度を盛り込んだ「教育免許法」の改正案については、概ね異論がなく骨子案に沿った答申案が了承されたものの、「地方教育行政法」の改正については、「教育委員会に対する国の権限強化」等に関する規定に対する意見が分かれ、審議が難航しました。 答申では、文部科学大臣に教育委員会に対する是正勧告・是正指示権を付与することについては、地方自治法で規定する「是正要求」で対応することを前提にしながらも、 @ 児童生徒の生命や身体の保護のため緊急の必要がある場合 A 憲法に規定された教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たさ れていない場合 に限って、「是正指示」等の措置が行えるようにする必要がある(多数意見)とした一方で、地方分権に逆行するなどの反対意見も併記されました。 さらに、文部科学大臣の教育長任命への関与については、賛成意見がほとんどないとして、これを採らないことを答申しました。 また、私学に対する教育委員会の指導・助言・援助に関しては、私学の建学の精神や自主性等を尊重する観点から、「指導」は採らないことが適当であるとする一方で、必要に応じて都道府県知事が教育委員会に対し、助言・指導を求め得るようにすべきとしました。 答申を受けた伊吹文部科学大臣は、答申内容と審議における賛否を総理に伝え、内閣としての意思決定を図りたいと述べ、早い段階での法案提出を示唆しました。
全国町村議会議長会(川股博会長)など地方6団体は、平成19年2月27日、「教育委員会に対する国の権限強化」について、地方分権に逆行すること、現行制度(地方自治法)による権限で十分に対応できることなどの観点から、これに反対する声明(「教育委員会への国の関与の強化案に対する反論」)を発表しています。
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