安倍晋三総理大臣は、平成19年3月12日、塩崎恭久内閣官房長官、伊吹文明文部科学大臣、菅義偉総務大臣と会談を行い、教育関連3法案の改正に向けた方向性を指示しました。 これは、平成19年3月10日に取りまとめられた中央教育審議会の「答申」で、地方教育行政法の改正のうち、文部科学大臣に教育委員会に対する是正指示権を付与することについて、賛成(多数意見)と反対(地方代表など少数意見)の両論が併記されたこと、また、文部科学大臣の権限強化に対し「地方分権に逆行する」等の理由から地方や規制改革会議などから異論が出ていることなどに対し、安倍総理大臣自らが裁定を下したものです。 安倍裁定では、文部科学大臣に教育委員会に対する是正指示権を付与することを認めたものの、その対象を「生徒等の生命・身体の保護のため緊急の必要がある場合」に限定し、中央教育審議会の答申では是正指示の対象とされていた「憲法に規定する教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たされていない場合」は、是正指示ではなく、具体的な改善策を盛り込んだ「是正要求」を行うことができる規定に止めたほか、是正指示や是正要求を行った場合には、首長や地方議会に通知して事後的な評価は地方自治に委ねることとし、分権の立場を唱える地方の意見にも配慮した形になりました。 また、教育長の任命に関しては、地方自治の力に期待して文部科学大臣の任命承認の規定は置かないこと、私学と教育委員会の関わりについては、教育委員会による指導等は行わないこと等、中央教育審議会の答申に沿った方針が示されました。 このほか、安倍総理大臣は、菅総務大臣に対し、教育委員会の事務の適正な執行については、教育長を任命する首長とこれに同意を与える地方議会の役割が重要であるとして、地方公共団体が自律的に地方自治の本旨に沿った機能を発揮するよう促すように要請しました。 これらの安倍総理大臣の指示を受けて、文部科学省は、教育関連3法の改正法案の策定に入り、今月中に法案を国会に提出したい意向です。
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