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茨城県大洗町議会の事績

満席となった傍聴席

1 議会活性化への取組み

(1)傍聴者増加のための方策

 平成19年の改選を契機に、これまで以上に「開かれた議会・信頼される議会を作る」との決意のもと議会改革の取り組みを始めた。議会活性化の原動力は何と言っても議員の自覚と資質向上であり、そのためには、住民に議員の実態を見てもらう事が第一と考えた。
 そこで、閑散としていた傍聴席を満員にしようと、平成20年3月定例会に先立って、町内の各団体に対し議会開催案内と傍聴をお願いするダイレクトメール約100通を発送したところ、一会期で150人を超える傍聴者を数えるに至った。
 すると議場内は議員、執行部とも一気に緊迫感がみなぎり、これまで3割程度だった一般質問も約8割の議員が登壇するようになった。
 このほか、一般住民にも傍聴を呼びかけるため、会期日程と各議員の一般質問内容を掲載したポスター(新聞紙1頁大)を定例会開催のほぼ10日前から、町内のスーパーマーケットやコンビニ、個人商店、金融機関、漁業組合、JA等の各団体、事業所等町内約70ヶ所に、議員自らが貼り出して定例会開催の周知徹底を図っている。

(2)傍聴者へのアンケート及びフォロー

 傍聴者には、議案等議会配布資料の全てと傍聴の「感想」を記入してもらうためのアンケート用紙を配布している。
 アンケートには、議場における議員等の発言内容や態度等について、できるだけ率直に書いてもらい、会議終了後に議員と町長に配布している。
 このアンケート結果は、議員個人にとって、励まし又は反省材料として大きな影響を与えており議員の資質向上に寄与しているほか、議場の設備(音響、バリアフリー等)改善に向けた指標にもなっている。
 また、定例会終了後には傍聴者全員に礼状及び審議内容を送付するとともに、次期定例会開催前には、これまでの傍聴者全員に議長名による開催案内をダイレクトメールするなど、傍聴者へのフォローも欠かさず行っている。

2 議会運営の工夫

(1)反問権(討論権)の付与

 平成20年3月定例会から執行部に反問権を付与した。(「反問」という言葉がきついとの判断から平成22年3月定例会から討論権と改めた。)これにより、個々の議員が自らの質問に対しどのような反問があってもいいようにと質問内容を精査するなど資質の向上が図れたほか、詰問調の発言が減少し、提案型の発言が大幅に増加した。

(2)画像を使っての発言

 平成23年12月定例会から、本議会において、発言の内容によっては画像を使ったほうがわかりやすい場合(例 道路等の場所、新しい物件の説明等)は、スクリーン等の機器を持ち込み、パソコンによるパワー・ポイント等を利用しても良いこととしたところ、発言内容の理解度と、時間の短縮に大きな効果を発揮しており傍聴者にも好評である。

(3)議員同士の討論の充実

 執行部からの政策提案又は議員側からの申し入れ等、各種の問題に対し、適宜全員協議会を開催し、議員同士の討論の場として徹底的な話し合いを行い、意見の集約化を図っている。
 この結果、これまで本会議で審議に時間を要していた案件についても、議案上程前の全員協議会において執行部からの説明を受け、疑問点を解消し必要があれば修正を求めたうえで、議案として上程させることとしており、これにより審議のスピードアップが図られるようになった。

(4)議会基本条例等の制定

 大洗町では平成20年から始まった議会改革に結びつく個々の取組みについて、全員協議会で決定し実行してきたものの、改革の後ろ盾となる条例がなかったことから、議会改革の一環として「議会基本条例」を制定する運びとなり、平成21年9月の定例会で基本条例制定のための特別委員会を設置した。これまでに議会基本条例に規定すべき殆どの取組みが実際に行われていたため、審議は円滑に進められ、平成23年6月の定例会で制定に至った。
 また、議会基本条例と同時に「議会倫理条例」を制定しており、特筆すべき点として、「原則として町から補助金の交付を受ける団体等の代表等に就任しないこと」を盛り込んだ。この条例制定後、適用となる議員が辞職したほか、平成24年10月には年賀状の廃止、新盆参りの供物持参の禁止を決定し、違反者は議会だよりに実名を公表する事も決定した。

3  住民に開かれた議会

(1)議会報告会の開催

 前述のとおり、大洗町の議会改革の礎は「開かれた議会・信頼される議会を作る」との決意であり、その第一義は住民に生の議会を傍聴してもらうことにほかならないが、このほかにも住民に開かれた議会改革に取り組んでいる。
 平成20年3月に始まった「議会報告会」もそのひとつである。毎年3月及び9月定例会終了後に、町内の集会所にて13人の議員が3班に分かれ(議長はフリーとする)、1日3ヶ所、毎日開会場所を変更して3日間にわたり計9ヶ所で開催することとしており、開催時間帯は、昼間は仕事で議会傍聴に来られない人のために午後7時から9時の時間帯で設定している。
 会場設営、来客接遇は議員のみで行い、各会場に3つある常任委員会所属議員を分散して配置し、原則としてその議員が自分の所属委員会の報告と出席者の質問に対する答弁を行うこととしている。
 議会報告会の案内は、各戸に日時、場所、担当議員名を掲載した案内状を配布するほか、町広報誌、町内放送、更には開催当日、会場付近にて街宣も実施している。

(2)日曜議会の開催

 住民から「仕事の関係から平日は傍聴に行けないので、日曜日に議会を開催して欲しい。」との要望が数多くあり、平成21年3月定例会より年1回開催している。

(3)政務調査費の廃止

 平成19年に県内において政務調査費の流用問題が大きな批判を浴びたことを契機に、議員1人あたり各月1万円、年12万円、全員分で年180万円を計上していた政務調査費を廃止し、代わりに議員全員が参加する勉強会開催のための費用のほか、議会報告会の会場運営費やポスター、傍聴を呼び掛けるダイレクトメール費用等、透明性が高く住民にも還元される経費に充てることとした。
 なお、勉強会は町職員や町民にも広く門戸を開放するとともに議会広報紙にその内容を掲載している。

4 地域振興のために特別な取組み

(1)東日本大震災への対応

 平成23年3月11日の震災発生時は、3月定例会の審議終了直後であり、ただちに災害対策本部が設置され、定例会は延期とした。
 各議員は地元に張り付き、被災者に対する救援や災害状況の確認の任に当たった。大洗町は海岸地帯を中心に津波被害(被害戸数522戸)、道路損壊、家屋被害(919戸)の大きな被害を受けた。
 これに対し大洗町議会は、同年4月、震災によって液状化被害を受けた土砂埋め立て地区の住宅について、議会主催にて地区住民と話し合いを行い、国及び県への要望事項や過去のボーリング調査の結果を掘り起こし、今後の対応策等について、相談会を開催した。
 また、被災地域の復旧のため、地元選出国会議員をはじめ防災大臣、総務大臣や経産省、文科省へ執行部ともども数回にわたり陳情要望活動を行うとともに、災害復興に充てるため、議員研修費180万円を返上した。

(2)原子力事業者との話し合い

 福島原発事故の影響により住民の原子力に対する不安が増大する中で、独立行政法人原子力研究所、民間の核燃料株式会社、日揮株式会社の原子力に関する企業の3社を抱える大洗町では、住民の不安を拭うためこれら原子力事業者との話し合いを重ね、事業計画を議会だよりに掲載して周知するほか、平成23年、24年には福島原発事故に関する詳細説明をも議会だよりに掲載した。

(3)町独自の見舞金

 執行部は、独自の震災被災者へ見舞金制度(床上浸水5万円、床下浸水1万円)を決定したが、議会としては、屋根瓦・家屋損壊等の国の救済制度に該当しない被災者に対し、修復費用の2割(限度額10万円)の見舞金を給付することを町側に申し入れ、実現した。
 最終的には、573人の住民に対し、総額約4,900万円が給付された。

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