議長会の活動
地方制度調査会
令和2年04月23日
第32次地方制度調査会(第37回専門小委員会)に松尾会長が出席

令和2年4月23日、ウェブ会議により、第32次地方制度調査会第37回専門小委員会が開催され、人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、求められる地方行体制のあり方について、地方六団体の代表者から意見聴取が行われました。
全国町村議会議長会からは、松尾 文則会長(佐賀県有田町議会議長)が出席し、「広域連携は重要な課題であるが、地域の実情に応じた自主的な取組として行われるべきものであり、国が押し付けるようなものであってはならない。計画作成市町村が計画を作成するにあたり、相手方の市町村の十分な参画を担保するなどの仕組みが提案されているが、この仕組みが法制度化を意味するなら、それは定住自立圏・連携中枢都市圏の制度化であり、圏域行政の制度化と言わざるを得ない。現在、要綱で行われている定住自立圏・連携中枢都市圏を法律に格上げすることは、県と市町村の間に新しい自治の仕組みを作ることであり、町村の現場から見ると戸惑いを禁じ得ず、周辺市町村の衰退と、いずれ圏域単位の合併に追い込まれかねないとの懸念が払拭できない。定住自立圏の協定、連携中枢都市圏の連携協約に加え、圏域の具体的な施策を記載したビジョンについても、要綱を改正し、地方自治法第96条第2項を活用して議決事件に加えることを勧めて欲しい。
地方議会について、議員報酬の引き上げは待ったなしの課題だが、一方で、議員報酬は、住民の議会・議員への理解がなければ引き上げることは難しい。私共も、引き続き自らの努力で議員報酬の引き上げに向け取り組んでいく覚悟だが、国においては町村議会が議員報酬を引き上げやすい環境の整備を図って頂くようお願いするとともに、適切な地方財政措置を講じて頂くよう要望する。また、現在、一律に禁止されている議員の個人請負の要件の緩和とその範囲の明確化をして頂きたい。さらに、サラリーマンや女性など多様な人材を確保するため、議員への立候補に伴い、解雇などの不利益な取り扱いを受けることがないようにすることに加え、議会・議員活動のための休暇・休職制度、議員退職後の復職制度についても今後さらに検討をして頂きたい。「議員の法的位置づけ」や「議員年金」などの課題については、今後、この地方制度調査会の場で検討して頂きたい。」旨の発言を行いました。
その後、委員から、広域連携や行政のデジタル化等について質疑があり、これに対して、松尾会長からは、「定住自立圏・連携中枢都市圏の中心市が法律に位置付けられ、定住自立圏・連携中枢都市圏が事実上法制度化されると、県と市町村の間に新しい自治の仕組みができることになる。これまで対等な立場で向き合っていた中心市が、広域連携のパートナーから法律を背にした周辺町村のリーダーであるかのような存在になってしまうことが懸念され、スムーズな広域連携に決してプラスではないと考える。
町村における行政のデジタル化は、様々な地域課題の解決や効果的・効率的な行政執行に欠かせないことであり、議会としてもしっかり議論していかなければと考えている。その際、セキュリティの確保、個人情報の保護、システム障害時の対応、災害時の対応、人材の確保といった点は、共通の課題として、常にチェックしなくてはいけない事柄である。議会のデジタル化も重要な課題であり、タブレットの導入で審議の充実と効率化を図るなど、新しい取組みがすでに始まっており、有田町でも昨年12月にタブレットを導入したところである。また、議会の議論を住民の方にもっと見て、そして聞いていただくために、新しい技術をさらに活用していくことも課題である。
地域の未来予測について、町村は人口減少・少子高齢化が先行しているため、使い方によっては、さらなる行財政改革、広域連携による効率化・集約化・合理化を進める道具に使われかねない。その点に十分気を付けながら、予測された結果を先入観なく受け止め、様々な議会の議論に活かしていくことは必要だと考える。」旨の発言を行いました。
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