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地方議会議員の年金制度の沿革

1 互助年金制度の創設

 昭和36年7月1日、「地方議会議員互助年金法」(昭和36年法律第120号。以下、「互助年金法」という。)に基づき、議員及びその遺族の生活の安定に資することを目的とした互助年金制度が発足し、議員の退職、公務傷病又は死亡に関する年金の給付を行うため、都道府県議会議員互助会、市議会議員互助会、町村議会議員互助会が設立されました。

2 議員年金制度の発足

 昭和37年に地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号。以下、「法」という。)が制定された際、同法の第11章に「地方議会議員の年金制度」の規定が設けられ、同年12月1日にそれぞれの互助会に代わり、都道府県議会議員共済会、市議会議員共済会、町村議会議員共済会が設立されました。

 互助年金制度から議員年金制度への切り替えに当っては次のとおり改正が行われました。

  • (1) 共済会の設置は法律に基づき強制となったこと。(互助会は任意設置。)
  • (2) 共済会への加入は法律に基づき強制となったこと。(互助会は任意加入。)
  • (3) 共済会の事務費は地方公共団体が負担することとなったこと。(互助会は会員負担。)
  • (4) 共済給付金の給付費は、会員の掛金のみをもって賄うことを原則としながらも、掛金のみをもって賄うことが困難な場合には、その不足分を地方公共団体が負担することとなったこと。(互助会は地方公共団体負担の規定なし。)

3 議員年金制度の改正

 こうして公的年金制度としての第一歩を踏み出した議員年金制度は、地方議会議員の実態や社会経済情勢に即した数次の改正が行われました。

  • (1) 一時金制度の創設
     地方議会議員の中に退職年金の受給資格期間を満たさずに退職する者が多数あったことから、法改正(昭和40年法律第103号)により一時金制度が創設され、昭和40年6月から実施されました。
  • (2) 公費負担制度の導入
     昭和46年の統一地方選挙により大量の退職給付受給者が発生し、共済会の給付財政が急激に悪化したことから、法改正(昭和46年法律第119号)により給付に要する費用の地方公共団体負担(公費負担制度)が適用され、昭和47年4月から実施されました。
  • (3) 年金額の物価スライド改定の実施
     「昭和42年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律」(昭和49年法律第95号)の成立により、物価変動による年金額のスライド改定が、昭和49年9月1日から実施されました。
  • (4) 他の公的年金との重複期間に関する控除の導入
     地方議会議員の年金制度に対しても公費負担が行われるようになったことを踏まえ、自己の職業による他の公的年制度に重複加入している者については、公費の二重適用分について調整するため、法改正(昭和49年法律第95号)により他の公的年金との重複期間に係る控除が行われるようになりました。
  • (5) 支給開始年齢の引上げ
     国民年金制度や被用者年金制度の支給開始年齢が満60歳に引上げる取扱いに準じ、法改正(昭和60年法律第108号)により議員年金制度の支給開始年齢も原則満60歳へと引上げられました。
     この支給開始年齢の引上げは平成7年においても行われ、本法改正(平成7年法律第52号)により、原則満65歳へと引上げられました。
  • (6) 特別掛金制度の導入
     被用者年金制度や国会議員互助年金制度に準じ、共済給付金の給付財源に充てるため、法改正(平成7年法律第52号)により、期末手当に係る特別掛金制度が導入されました。

4 議員年金財政の悪化に伴う制度改正

  • (1) 平成14年の改正
     定数削減による会員減や運用利回りの低下等により収入は減少傾向にあるにもかかわらず、制度の成熟化による受給者増により支出は増加の一途を辿り、地方議会議員の年金財政は、極めて厳しい状態に陥ったことから、総務省と地方議会議員共済会は平成12年12月から地方議会議員年金制度検討会において、その対応策について検討を行い、平成14年2月「地方議会議員年金制度検討会報告書」 (784KB)を取りまとめました。
     この検討結果を踏まえ、法改正(平成14年法律第37号)等により、給付と負担のあり方を見直す抜本的制度改正が行われ、平成15年4月1日に施行されました。主な改正点は下記のとおりです。
     ① 改正後の退職者に係る退職年金及び退職一時金の給付水準の20%引下げ
     ② 掛金率、特別掛金率及び負担金率の引上げ
     ③ 他の公的年金との重複期間に係る控除率の引上げ(25/100→40/100)
     ④ 高額所得による支給停止基準額の引下げ
     なお、平成14年の改正の当時、既に市町村合併は強力に推進されており、この影響により地方議会議員年金の財政状況が悪化することは予想されていましたが、市町村合併の進捗を確たる数値として見込むことは困難であったことから、市町村合併の影響については、次期財政再計算(平成18年)で対応することとされました。
  • (2) 平成18年の改正
     平成14年の改正後において市町村合併は全国規模で急速に進展し、その結果、市及び町村議会議員共済会の年金財政は、平成20年度には積立金の枯渇が見込まれる非常に厳しい状況となったことから、総務省と地方議会議員共済会は平成17年7月に地方議会議員年金制度検討会を再度立ち上げ、その対応策について検討を行い、平成18年2月「地方議会議員年金制度検討会報告書」 (1MB)を取りまとめました。
     この検討結果を踏まえ、法改正(平成18年法律第63号)等により、給付と負担のあり方を見直す抜本的制度改正が行われ、平成19年4月1日に施行されました。主な改正点は下記のとおりです。
     ① 改正後の退職者に係る退職年金及び退職一時金の給付水準の12.5%引下げ
     ② 退職年金受給者の給付水準の10%引下げ
     ③ 在職加算年数の上限の引下げ(50年→30年)
     ④ 掛金率及び特別掛金率の引上げ
     ⑤ 負担金率の引上げ及び激変緩和負担金の創設
     ⑥ 高額所得による支給停止基準額の引下げ
     ⑦ 市及び町村議会議員共済会の財政単位の一元化

5 議員年金制度の廃止

  • (1) 地方議会議員年金制度検討会による検討
     平成18年改正において、激変緩和負担金を創設するなどして市町村合併の進展による議員年金財政の悪化に対応するための方策を講じましたが、当時見込んだ以上に市町村合併が進展したことに加え、行政改革に連動した定数・報酬の削減が積極的に行われたことにより、市及び町村議会議員共済会の年金財政は、平成23年度には積立金の枯渇が見込まれる非常事態となったことから、総務省と地方議会議員共済会は平成21年3月に地方議会議員年金制度検討会を立ち上げ、その対応策について検討を行い、平成21年12月「地方議会議員年金制度検討会報告書」 (4.9MB)を取りまとめました。
     報告書では、検討会としての存続案(A案・B案)と廃止案が併記され、国に対し早急な対応が求められました。
  • (2) 議員年金制度の廃止
     検討会の報告書において、議員年金制度改正に向けた方向性が明確に示されなかったことから、全国町村議会議長会は平成21年12月「地方議会議員年金制度の長期安定化に関する要望」 (11KB)を取りまとめ、議員年金制度の維持存続について、政府・政党要路者並びに全ての国会議員に対し強く要請活動を行いました。
     しかしながら、国は、昨今の厳しい年金財政の状況において、地方議会関係者の共通の合意と国民の理解を得て、今後も持続的な制度として議員年金制度を存続させることは困難であるとの判断に至り、平成23年1月に「地方議会議員年金制度見直しについての総務省の対応方針」 (332KB)が示され、議員年金制度は廃止されることになりました。
     このことを受けて、平成23年5月地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律(平成23年法律第56号)が成立し、平成23年6月1日をもって地方議会議員の年金制度は廃止されました。
     なお、地方議会議員の年金制度は廃止されましたが、廃止法施行日の前日までの在職期間に係る年金等の共済給付金については、その権利が消滅するまで給付が継続されることになっています。

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